旅情を誘う 昭和レトロ DCへSL客車改装

上毛新聞
2019年9月15日

 2020年4~6月の大型観光企画「群馬デスティネーションキャンペーン(DC)」に向け、JR東日本高崎支社は12日、蒸気機関車(SL)がけん引する旧型客車計7両の内部を昭和初期の雰囲気に改装すると発表した。内装を木目調とし、うち1両は車窓に向いた座席やサービスカウンターを備えたラウンジカーに改造する。改装後はファミリー向けの車内イベントを展開。旅情を演出し、DCをきっかけに本県への誘客増につなげる狙いだ。

 「会話がはずむ列車」をコンセプトに、DCが始まる同年4月までに改装を完了させる。改装するのは同支社が所有する1938~55年製の旧型客車7両。クリーム色や灰色に塗装されている車内を、床に木目調のシートを張り、壁や窓枠なども茶色に塗装してレトロ感を演出する。

 ラウンジカーは、指定座席とは別に乗客が自由に出入りし、くつろげるスペースにする。新設するカウンターでは土産品などを販売したり、観光案内に使ったりすることを検討している。車窓に向いたロングテーブルや、テーブルを囲める6人ほどのボックス席も設ける。

 改装後の主なターゲットは家族連れ客。小学生以下の乗客がいるグループにはSLの性能や歴史を分かりやすく解説するリーフレットを贈る。ラウンジカーではSLを題材にした「SLかるた」を使うイベントも開催予定。同支社は「遊びと学びを提供することで、SL乗車から会話が生まれるようにしたい」とする。

 同支社によると、「宮沢賢治」「大正ロマン」といった世界観を表現したSL客車の改装はこれまでもあるが、旧型客車が現役として活躍していた昭和初期を再現するような改装は珍しいという。

 総改装費用は約1億5千万円を見込む。木村法雄支社長は「昭和初期の雰囲気の中、ゆったりとしたSLの旅を家族や友人と楽しんでもらえると思う」と自信をのぞかせた。

 改装客車は土日を中心に運行しているD51、C61のSLぐんまの「みなかみ」(高崎―水上間)と「よこかわ」(高崎―横川間)で活用する。

 改装前の旧型客車に乗車できるのは10月28日まで。改装中は旧型客車と並行して使用している「12系」と呼ばれる客車(78年製)を使うという。