世界遺産周遊拠点に 富岡倉庫に「おかって市場」 隈さん改修 地産や厳選商品 5日開業

上毛新聞
2019年9月7日

 歴史的な倉庫群で、世界的な建築家の隈研吾さんが改修工事を手掛ける「富岡倉庫」(富岡市)の3号倉庫に、こだわりの食料品などを販売する「おかって市場」(高橋公子代表)が5日、移転開業する。木の温かみを生かした空間で、多様で豊かな食を提供する。倉庫群は観光客が上州富岡駅から世界文化遺産の富岡製糸場へ向かう最初の窓口に当たり、製糸場を核とした周遊観光の新たな拠点になりそうだ。

 店内は昔ながらの雰囲気を生かしつつ、明るく洗練された空間。補強材として使われた最先端の炭素繊維をデザインにも活用している。これらに合わせて調度品が配置され、地元産の取れたて野菜や産地にこだわった食品が並ぶ。

 ギャラリースペースには厳選した食器や衣料品をそろえる。キッチンスタジオを完備し、料理教室を予定する。将来はカフェとしての活用も考える。

 同店は中心市街地の買い物弱者の支援を主目的として2010年、3号倉庫の南側にある木造の「乾燥場」の一角に開業した。厳選した出店者をそろえたイベントも企画し、県内外のファンは多い。7日にはビールのイベントを初めて開催。会員制交流サイト(SNS)などを活用して集客を図っている。

 製糸場の入場者数は減少傾向だが、同店は「地域の人に親しまれると同時に、これまで以上に観光客に立ち寄ってもらえる場所にしたい」としている。

 富岡倉庫は明治~大正時代に建設され、かつては繭や生糸などを保管した。れんが積みの1号、大谷石積みの2号、土壁の3号の各倉庫と、乾燥場の四つの建造物で構成。1号倉庫には来年3月、県が「富岡製糸場と絹産業遺産群」の総合ガイダンス施設「世界遺産センター」を開設する。2号倉庫は市が活用法を検討している。

 おかって市場(☎0274-67-5373)は年中無休。営業時間は午前9時~午後7時。