《職人名鑑》地場野菜 フレンチに

上毛新聞
2019年2月20日

安兵衛(下仁田町下仁田) 新井 渉さん(52)

曽祖父の代から続く店を父の良雄さん(76)と一緒に切り盛りする。長く町民に愛されてきたカツ丼やオムライスなどの定食と、本場で腕を磨いたフランス料理が売りだ。
創業は100年以上前。曽祖父はかつて中心街にあった芝居小屋「歌舞楽座」内で食事を出していた。現在の場所に移転して祖父、父と受け継がれてきた。幼少の頃から4代目を継ぐことを意識してきた。大阪の専門学校に通いながら神戸のフランス料理店で修業。渡仏し、リヨン近郊で本場の味を学んだ。
地元産の新鮮な野菜にこだわる。葉物のスイスチャーブ、紫ニンジンやUFOズッキーニなどの野菜を道の駅しもにたで調達する。コース料理の付け合わせやパスタに活用。「下仁田ねぎグラタン」(900円)、ジオパークにちなんだ「ジオ定食」(600円)といった独自メニューにも力を入れる。
宴会場をバリアフリーにしたり、車椅子でも使えるトイレを作ったりと、来客の意見を大切にしてきた。「格式張らず、気軽にフランス料理を楽しんでほしい」と優しいまなざしでほほ笑む。