《まち里歩き 探検隊》玉村八幡宮(玉村町上新田) V字のマツで勝運
今年も残りわずかとなり、新年が近づいてきた。来年は亥(い)年で、記者は24歳の年男を迎えるが、どうやら厄年らしい。一足早く御利益にあやかろうと、戌(いぬ)年と亥年生まれの参拝客が集うという玉村八幡宮(はちまんぐう)を訪れ、周辺を散策した。
同八幡宮は1195(建久6)年創建。約9900平方メートルの広大な敷地を有し、見上げると首を痛めそうなほど高い鳥居が印象的だ(❶)。「戌亥八幡」の別称を持ち、安産や交通安全を祈願する人たちが後を絶たないという。
厄よけを願い歩みを進めると、境内の外に「昇龍(しょうりゅう)の松・勝運の松」と呼ばれるV字形のマツ(❷)を発見。禰宜(ねぎ)の梅林健二さん(42)が「町内の少年野球チームなどが必勝祈願で訪れ、玉村の勝利のシンボルとして注目されている」と誇らしげに教えてくれた。
ツバキが咲く民家を横目に北上し、十字路を西に折れると、白い外壁が愛らしい生花店「はな蔵(くら)」に着いた(❸)。シクラメンやポインセチアなど冬を彩る花が所狭しと並び、店長の平井カコさんが水分を抜いて作ったプリザーブドフラワーが出迎えてくれた。店内に生花用の冷蔵庫はなく、花は全て常温で管理。「外気との差で花が傷むことなく、新鮮なまま提供できる」とこだわりを話す。
小腹がすいたので、八幡宮南側のカフェ「はなまめ」へ立ち寄った(❹)。火・金曜のみ営業し、地場産の小麦や野菜を生かした日替わりランチが好評だ。友人と来店した戸井田裕希さんは「メニューの彩りや栄養バランスが良く、何度も通っている」と、ランチタイムを満喫していた。
カフェの西隣にあるのは、創業106年の老舗菓子店「福嶋屋」。2種の小麦粉と3種の砂糖を使った、こだわりの看板商品「生ロールケーキ」(1080円)は、県内外からファンが訪れるほどの人気という(❺)。
店を出た後、旧日光例幣使街道を歩いた。稲荷神社を右手に見ながら西へ進むと、上空に向かって延びる緑色の網を発見。近づくとバッティングセンター「タマムラスポーツスタジアム」(❻)に到着した。地元の少年野球チームも通うといい、練習後は勝運の松で願掛けするのだろうかと想像を膨らませた。
【ちょっと一息】景色と手打ち味わう 純手打そば処 与志乃(玉村町上新田)
創業41年の地域で愛される食堂。窓越しに赤城山や谷川岳を望める店内は、サラリーマンや家族連れでにぎわう。
看板商品はユズの香る、とろろ汁と3種の薬味、えび天をセットにした「与志乃そば」(1350円)。石臼でひいたそば粉を使った「どっこそば」(831円)も人気だ。ランチタイム限定のセットメニューも豊富で、麺の大盛りとサラダのサービス付き。店主の今井好富さん(69)は「麺はすべて手打ちにこだわっている。レトロな建物で食事を楽しんで」と笑顔で話す。
午前11時~午後3時、午後5時~午後8時(木曜は同3時まで)。年中無休。問い合わせは同店(☎0270・65・9241)へ。
【メモ】発着点の玉村八幡宮からタマムラスポーツスタジアムまでは約1.5キロ。ゆっくりと散策しながら30分ほどで周回できる。八幡宮周辺にはすし店や飲食店が点在し、空腹時でも安心。交通量が多いコースなので注意して。
【本日の探検隊員】地域の温かさ実感
日々の車通勤ですっかり寒さへの耐性がなくなった記者。これでは冬を乗り切れないと危機感を覚え、防寒着を着て外に繰り出した。玉村町民を見守るかのようにどっしりと構える八幡宮周辺には、来客を第一に考える生花店や飲食店が並び、地域の温かさを身に染みて感じることができた。外気の寒さが和らぐ心地がした。