《まち里歩き探検隊》スタート地点 広瀬川河畔緑地「太陽の鐘」(前橋市千代田町) 川沿いアート彩る

上毛新聞
2018年10月6日

芸術家、岡本太郎氏(1911~96年)の「太陽の鐘」が今年3月、前橋市中心街の広瀬川沿いに設置され、「水と緑と詩のまち」にアートの彩りが加わった。太陽の鐘を出発し、川沿いの魅力的なスポットを訪ねた。

太陽の鐘は、上毛電鉄中央前橋駅近く、広瀬川河畔緑地にたたずむ(❶)。上部に人型の造形が施された生命力あふれるデザインが印象的で、岡本氏らしい。前橋市のビジョン「めぶく。」にふさわしく、街の成長にエネルギーを注ぐ新しいシンボルと感じた。


川沿いの遊歩道を進むと、前橋文学館がある。館内の壁には、萩原朔太郎の詩「広瀬川」や「竹」が書かれている(❷)。朔太郎の心情に思いをはせながら施設内を見学。2階の展示室では、朔太郎が詩を朗読した音声を聴くことができた。

コンクリート造りでモダンな建築の太田写真館が見えたので、立ち寄ってみた。外壁には、1914年に同館で撮影したという朔太郎と妹ユキの写真が飾られている(❸)。隣には朔太郎の孫、萩原朔美さんらが同じポーズで撮った写真もあり、ユーモアに思わず笑みがこぼれた。

国道17号を渡った先の、アンティーク家具や雑貨の店、ワンダーフォーゲルは、世界中から集めたこだわりの商品が並ぶ(❹)。店名は渡り鳥を意味し、店長の関隆行さん(46)は「長く使える良いものを受け渡したいという思いを込めた」と話す。


昭和の面影が残る弁天通りに入り、弁天シェアハウスの門をたたいた(❺)。同施設は、学生たちが住むシェアハウスで、1階は主にイベント会場として貸し出している。運営する松島郁夫さん(53)は「いずれは外国人留学生や日本人学生が交流できる場としても活用したい」と意気込んだ。


中央通りから馬場川通りを東に進むと、アーツ前橋(❻)。1階雑貨店にはアクセサリーやバッグが並び、見るだけでも楽しい。同館では5日から企画展「岡本太郎と『今日の芸術』」が始まる。岡本氏の絵画や造形作品約70点を展示し、県内で一堂に見られるのは初めてという。期待に胸を膨らませ、「絶対に見に来よう」と思いながら美術館を後にした。

【ちょっと一息】本場・仏のガレット カフェ ル ココン(前橋市千代田町)
広瀬川沿いにある、本場フランス仕込みのガレットが食べられる店。東京やパリのガレット専門店で6年間修業した店長の磯沙佳さん(35)が、今年1月にオープンした。


目玉焼きにハムとチーズを合わせた、ガレットとサラダのランチセット(950円)が人気。リンゴを発酵させた爽やかな酸味が魅力の酒、シードル(580円)とともに食べるのがフランス流という。
食後には、塩バターキャラメルやレモン味のクレープ(350円など)がお薦めだ。
火~土曜は午前11時~午後7時、日曜は午前11時~午後4時。月曜休み。問い合わせは同店(☎027・888・6138)へ。

【メモ】「太陽の鐘」から広瀬川沿いや弁天通り、中央通りを歩き、アーツ前橋まで約1.5キロ。広瀬川沿いには萩原朔太郎らの詩碑が並ぶ他、水辺を飾るオブジェもある。詩やアートの世界に浸りながら、ゆっくり巡りたい。

◎本日の探検隊員 文化生活部 土屋麻里記者 中心街憩いの場に
「太陽の鐘」の設置で、一層文化的な色合いを増した広瀬川沿い。柔らかな川風に揺れる柳や、せせらぎ、水面が日差しを浴びて光る様子にも心が癒やされた。おしゃれなカフェなどが立ち並び、休憩しながら散策を楽しむことができた。郊外も良いが、前橋市中心街にも足を運び、憩いの場として、ぜひ活用してほしい。

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