《茨城いちばん》干し芋 国内シェア9割

茨城新聞
2018年2月4日

本県の代表的な冬の味覚が干し芋だ。家庭用やお歳暮などの贈答用として重宝されている。国内ではほとんどが本県で作られ、9割超の圧倒的なシェアを誇る。

干し芋は明治時代後期に静岡県からひたちなか市に入った。冬に強い海風が吹く同市の気候条件が産地の同県御前崎地方に似ており、北海道や東北地方へ売るための地の利もあって普及した。農閑期に生産でき、原料のサツマイモが手に入りやすいなどの条件がそろい、当時は農家の副業に位置付けられた。

本県の生産は伸び続け、1955年にはトップを走ってきた発祥地・静岡を抜き、日本一の産地に上り詰めた。

本県の生産額は約69億円(2015年)で、現在も全国シェアの9割以上を占め、“不動の地位”を守り続ける。

最近は干し芋生産を巡る環境の変化が激しい。伝統的な天日干しに代わって、乾燥機を導入する生産者が増加。また、従来の主力品種「タマユタカ」とは別に、加工時に黄金色に映える「ベニハルカ」が台頭した。

ひたちなか、東海、那珂の3市村で構成される協議会は毎年、品評会で一番おいしい干し芋を決めており、生産者がしのぎを削っている。

ひたちなか市釈迦町の干し芋専門店「大丸屋」は繁忙期真っただ中で、ガラス張りの施設で天日干しする作業に追われている。運営するマルダイフレッシュフーズの大曽根一毅専務(42)は「特に衛生管理に気を付けている。太陽光を浴びることで、おいしい干し芋ができる」と話す。

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