幻のラン、79年ぶり開花 シマクモキリソウ 筑波実験植物園

茨城新聞
2017年11月18日

1938年に小笠原諸島の父島で採取されたのを最後に、絶滅したと考えられていたラン科の植物「シマクモキリソウ」を、約300キロ離れた南硫黄島で発見し、栽培して花を咲かせるのに成功したと国立科学博物館が17日発表した。

シマクモキリソウは小笠原諸島の固有種。父島では人が入植した影響で、すでに絶滅したとみられていた。今年6月、南硫黄島の自然環境を調査していた東京都や首都大学東京のチームが標高700メートル付近の林周辺で未開花の株を発見。3株を採取して国立博物館の筑波実験植物園で育てると、うち1株が11月16日に開花した。

高さ約12センチの株に直径1センチほどの花が1輪咲いた。花びらは緑色で6枚あり、丸い形や細長い筋状の形をしている。本州などの比較的涼しい地域に分布するスズムシソウと遺伝的に近く、亜熱帯の小笠原諸島で独自の進化をしたとみられる。

開花したシマクモキリソウは19~26日に筑波実験植物園で一般公開される。

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