《食いこ》うるし処 富加家(茨城・大子町)

茨城新聞
2026年7月19日

大子漆に親しむカフェ

茨城県の奥久慈地域で採れる「大子漆(うるし)」は、品質の高さから漆工芸家に多くのファンを持つ。深緑の山々を望む同県大子町の工房兼カフェ「うるし処(どころ) 富加家(ふかや)」は、大子漆や漆器の魅力を紹介すべく漆器の展示販売や制作体験を行う傍ら、自家栽培の果物の料理で憩いのひとときを提供する。

元町役場職員で漆工芸家の深谷雄一さん(66)が2024年11月に開いた。在職中、特産品開発を担当したことがきっかけで地元産漆に魅了された。愛好者グループ「大子漆工芸くらぶ」の立ち上げに携わり、展覧会や講習会で30年近く発信を続けてきた。定年を迎え、「もっと身近に、漆に親しめる場所を」と開店を決めた。

大子産の杉材をふんだんに使った店舗

店内では、同グループのメンバーが大子漆で仕上げたおわんや箸、コップといった食器類、アクセサリーをはじめ、津軽塗(青森県)、会津塗(福島県)など常時100点前後の漆器を展示販売。制作体験は蒔絵(まきえ)、漆塗り、金継ぎ、漆かき(7~11月限定)、箸の研ぎ出しの5種類。

「安くて便利なものがたくさんある時代だが、漆は修復しながら末永く使えるし、使うほど味が出る」と深谷さん。特に大子漆は「伸びが良く、透明度も高い。器が丈夫になる」とアピールする。

訪れた客をもてなそうと、カフェスペースを設けた。料理は妻・洋子さん(67)の担当だ。一押しは自家栽培のブルーベリーを砂糖で煮詰めた「特製濃縮ソース」をたっぷり使ったスムージーやスカッシュ、パスタ。パスタはブルーベリーの酸味とモッツァレラチーズや生ハムの塩気がかみ合い、プチッとはじける実の食感が楽しい。7月いっぱいを目安に提供する季節限定「生ブルーベリータルト」や自家栽培の栗で作ったモンブランもお薦めという。

漆塗りの食器類が展示販売されている

大子産の杉材をふんだんに使った店舗は木のぬくもりに包まれ、深谷さんが拭き漆で仕上げたヒノキのカウンター席から一望できる四季折々の自然は、ゆったりとした時間の流れを感じさせる。

深谷さんは「大子漆の知名度を上げるために長く続けたい」、洋子さんは「静かな環境で自然の食べ物を味わい、気持ちを整える時間にしてほしい」と語った。

お出かけ情報
▽茨城県大子町頃藤4212の3
▽定休日は火、水、木曜(不定休あり)
▽営業時間は午前10時~午後5時(ラストオーダーは同4時半)
▽漆工芸体験は要予約
▽(電)090(4370)9118