光放つ“生きた文化財” 四万温泉 積善館(群馬・中之条町)《温泉百景》

上毛新聞
2026年7月19日

四万温泉が夕暮れを迎える頃、老舗旅館、積善館の本館が光を放ち始める=写真。すっかり日が落ち宵闇に重厚な建物が浮かび上がると、浴衣姿の観光客らが吸い寄せられるように集まってきた。

建物は1691(元禄4)年の建築。当初は2階建てだったが、1907(明治40)年ごろに3階部分が増築され、現在の姿となった。

新湯川に面した部分の1階は、30(昭和5)年に大正ロマネスク様式を取り入れて改築された浴場で、アーチ状の窓と、純和風の2、3階との好対照が目を引く。昔ながらの湯宿建築の様式や湯治の文化を現代に伝える建造物は、県重要文化財に指定されている。

今や、映画「千と千尋の神隠し」のモデルとも言われる、温泉街の代表的な“映えスポット”。四万温泉の新たな魅力になればと、積善館が日没から午後10時ごろまで、各部屋の照明も点灯してまばゆい光景を創りだしている。

300年を超える歴史を重ねてきた木造建築とあって、補修や火災への備えなどには細心の注意が必要だ。それでも、黒沢百合恵社長は「積善館の原点であり、四万温泉の歴史の一部でもある本館を“生きた文化財”として守り続けたい」と語る。

四万温泉を舞台にした「第7回温泉郷クラフトシアター」(中之条町、四万温泉協会主催)が18~26日に開催される。

県内外のクラフト作家らが温泉街のあちこちで作品制作の様子を披露したり、ワークショップを開催したりする催しで、中之条ビエンナーレがない年に隔年で開催している。

今回は21の作家や団体が参加を予定。事前予約が必要なワークショップもあり、詳しい内容は協会ホームページなどで確認できる。