《旬もの》福田農園(つくば市) 熟して収穫、甘いイチジク

茨城新聞
2017年9月3日

プチプチした食感と甘くとろけるような味わいのイチジクがおいしい季節。つくば市にある福田農園のビニールハウスは甘い香りに包まれていた。福田文さん(56)はこの時季、収穫に忙しい。7月半ばごろから10月半ばごろまで続くという。「色も形も味もよい」という品種「桝井ドーフィン」を栽培する。

「樹上で熟してから収穫すると、味がよくやわらかで重量感がある」と食べ頃に気を配る。完全に熟してからもぎるとパック詰めでつぶれてしまうほどやわらかいため、「少し手前、九分ぐらいで収穫する。生でも皮ごと食べられる」。収穫時に手袋をしないのが福田さんの流儀。熟し具合を直接指でそっと確かめる。葉や茎あたりから出る白い汁でかぶれるのもいとわない。色つやの見た目と感触で取り頃を素早く判断。ふっくらとしたつややかな赤紫色の実をもぎり、丁寧に籠に入れていく。

収穫は朝夕2回。暑さの中での収穫は一苦労。1回の収穫は約2時間から取り切るまで続く。さらに、パック詰めに約2時間かかる。市場の仲卸と青果業者に出荷するほか、自宅で直接販売する。口コミで広がり、採れたてのイチジクを毎年買いに来てくれるファンも多い。「『おいしい』と言われると励みになる」。福田さん一人で栽培や出荷を行うため「品物を用意できないことや急に休むこともあるので必ず予約してほしい」と話す。

農家に嫁ぎ子育てが一段落した福田さんは約15年前、地元の農協が当時、力を入れていたイチジク栽培に取り組んだ。露地で始め「最初はずいぶん苦労した。寒さに弱く冬が越せない」とハウス栽培に切り替えた。

栽培法は「一文字仕立て」。木の根元からはうように伸ばした左右の太い枝に10本ずつ枝を立ち上げる。その枝1本に約20段の実がなるという。「ほとんど農薬を使わず低農薬。肥料はおおむね堆肥を使う」。冬場は防寒対策を施す。

「割れてしまったりしたB品はジャムやコンポート用に出す」。作ったジャムを届けてくれるなど、客とのうれしい交流もある。

福田さんが薦める食べ方は「イチジクに酸味がないので、生食で塩っ気のある生ハムやクリームチーズとよく合う。和食ならごまだれと相性がいい」。

■メモ
福田農園
▽住所はつくば市下広岡1055の12
▽不定休
▽(電)090(4051)5155
品物がないときもあるので、電話で予約を必ず入れる。

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