隈研吾氏設計 そば店新装 助成活用 「町の知名度向上に」 茨城・境

茨城新聞
2024年12月4日

茨城県境町染谷の老舗そば店「砂場」が有名建築家の隈研吾氏の設計でリニューアルされ、オープンした。町は観光や地域の活性化のため、町が整備する施設に同氏の設計を導入している。民間では初めて。店主の川口翔太さん(31)は「知名度アップなど町の役にも立てるよう頑張りたい」と話す。

店舗は上方向に左右非対称の鋭くとがった屋根が広がるユニークな外観。木造平屋建てで延べ床面積約70平方メートル。開放的な「ゲート(門)」をイメージし、客や人を招き入れるコンセプトという。外装には杉板を使い、内装にはワラをすき込んだ土壁を使うなど、木や土の温かみが感じられるデザインだ。

同店は1976年の開業以来、40年以上にわたって町民に親しまれてきた。初代店主の父親(故人)が東京の有名店で修業して習得した味が受け継がれている。2代目の母親から引き継いだ川口さんは、旧店舗が道路拡張に伴い移転する必要が生じたのをきっかけに、隈氏に依頼したいと考え町に相談した。

町には「S-Gallery粛粲寶(しゅくさんぽう)美術館」や道の駅さかいの施設など、隈氏がこれまで手がけた建物が8件ある。いずれも町関係の施設だった。今回の新築には町が2022年度に設けた設計費の半額を助成する制度を活用した。

11月26日にリニューアルオープンし、川口さんは「町の内外からたくさんのお客さんに来てもらい、町や町民の皆さんに恩返しがしたい。新しい気持ちで創業100年を目標に、味も人との関係もつないでいきたい」と語った。