セミナーやコンサート、ギャラリースペースにいかが? 古民家を文化交流の場に… 埼玉から移住の夫婦が再生 群馬・安中市 

上毛新聞
2024年11月15日

戦国時代の山城を整備した後閑城址公園(群馬県安中市)の南麓に今月、地域の文化発信と交流を目的とした新たな施設が誕生した。明治期に建築された古民家「旧高林家住宅」(同市下後閑)を埼玉県内の夫妻が取得し、1年半かけて改装。多目的文化交流空間「後閑山荘」として生まれ変わらせた。講座や講演会、ギャラリー展示、ワークショップといった多彩なイベントを企画し、過疎化が進む地域を盛り上げる。

夫妻は埼玉県出身の神津治生さん(64)と明美さん(60)。2年前、縁あって空き家となっていた古民家を訪ねた。後閑城本丸の南方に位置し、近くには登城路があった。歴史や山城に興味がある夫妻はすぐに古民家を気に入り取得。定年退職を機に同県朝霞市から移住した。

かつて群馬県で盛んだった養蚕の姿をほうふつとさせるたたずまいは「不思議な懐かしさに満ちていた」と振り返る。古民家を守り継いできた人々に思いをはせ、「主(あるじ)は変わろうとも、次の世代につなげていかなければならない」との思いを熱くし、保全再生に取り組んだ。

古民家は、1000平方メートル近くの敷地に2階建て母屋と土蔵から成る。母屋2階の約70畳の蚕室は屋根裏が高い吹き抜け構造を生かし、セミナーやコンサート、ギャラリースペースに活用できるよう床の補強などを行った。白壁をスクリーン代わりにして映像を映せるよう工夫した。

イベントの開催時のみ、カフェスペースを設ける。夫妻は「家は人が集まってこそ。これからの未来につなげていく場として、後閑の地の風土や日々の暮らしを知ってもらう文化交流拠点になればいい。結果的に、地域の活性化に少しでもつながればうれしい」と話した。

古民家は安中後閑小の東隣。16日まで土蔵で「昭和の着物~羽織展~」(入場無料、午前10時~午後4時)を開催している。今後のイベント詳細や日程は「後閑山荘」のホームページで順次案内する。

土蔵で開催中の展示会