稜線トレイル気軽に 誘客へ改修 収容人員増 谷川岳・肩の小屋 県が整備予算案
県境の稜線(りょうせん)を観光資源として活用する「稜線トレイル」=ズーム=の整備を進める県は、谷川岳の山小屋「肩の小屋」(みなかみ町湯檜曽)を改修し、利用者の利便性を向上させる。休憩所の収容人員を増やし、ハイカーが気軽に立ち寄れる施設にし、さらなる誘客につなげる。大沢正明知事が18日に内示した本年度一般会計5月補正予算案に整備費1200万円が盛り込まれた。
県自然環境課によると、改修するのは小屋の休憩所棟の一部で、日帰り利用者に軽食や喫茶を提供したり、宿泊者の食堂として使用している30平方メートル余り。板張りの床を撤去して土間式にし、登山靴のまま気軽に利用できるようにする。大型のテーブルを新たに設置し、収容可能人員を16人から24人程度に増やす。
ソーラーパネルで発電した電気をためる蓄電池も、老朽化しているため更新し、現在より4割以上多い電力量まで対応できるようにする。これに伴って使用できなかった屋内トイレも、LEDライトを使った照明で快適に使用できるようにする。休憩所は避難小屋としての役割もあり、県はトレイルの際の拠点と位置付けている。
肩の小屋は県が設置し、みなかみ町が管理する山小屋。例年4月下旬から11月上旬ごろまで営業している。資材をヘリで搬入する必要があることなどから、県は登山客の利用状況を見ながら改修を進め、今シーズン中に工事を終える方針。同課は「利用者の利便性と安全性を確保するとともに、山小屋の魅力を高めたい」としている。
2015年の肩の小屋の利用者は宿泊者が1015人、日帰り利用者が約1万6千人。谷川連峰の山小屋にはこのほか、「蓬ヒュッテ」と「平標山の家」がある。
【ズーム】
稜線トレイル 山の峰と峰を結ぶ稜線に整備される、自然などを楽しみながら歩くロングトレイルのコース。県は新潟、長野両県境との稜線を活用し、国内唯一の全長100キロのロングトレイルコース「ぐんま県境稜線トレイル」とする方針で現在、三坂峠(中之条町)から白砂山(同)までの区間(約10キロ)を整備、来年8月の開通を目指している。ロングトレイルは健康や自然志向のライフスタイルが広まる中、国内でも愛好家が増え、近年は全国的な組織も立ち上がっている。
※写真=谷川岳の稜線下に立つ「肩の小屋」(2012年撮影)
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