《釣り》渓流解禁 野生ヤマメ狙う 特有の引き味堪能 八溝川 茨城・大子

茨城新聞
2024年4月20日

待ちわびた渓流釣りが茨城県内でも解禁となった。早速、同県大子町を流れる八溝川に野生のヤマメを狙って出かけた。天候など好条件にも恵まれ、釣獲上限の20匹を釣り上げられた。

夜明け前に八溝川下流で餌を取る。3日前の大雨で増水した川は、底石がきれいに洗われて川虫があまり取れず時間がかかる。やっとのことで集めた川虫は極めて小さいヒラタとキンパク、オニチョロだ。

これを持ってヤマメの生息する上流を目指した。ちょうど明るくなった頃に上野宮地区のポイントに着くと、例年たくさんいる釣り人の姿も今年はちらほらという感じだ。

今回用意した針と糸

 

私もさおを伸ばして釣ってみる。餌が小さいので針もとても小さい「忍ヤマメ4号」。ミチイトはナイロンの0.2号だ。まずは餌箱の中で弱りの早いヒラタから先に使う。大きな岩にぶつかった流れが底を掘った深みに仕掛けを流し込むと、早速アタリ。

「おお! 一発目から大きいぞ」。流れを味方につけて下流に走っていくのはヤマメ特有の引き味だ。1匹目を逃がすと気分が落ちてこの後の釣りに影響する。しっかり丁寧に浅い緩流帯に導いて網に入れる。

20センチくらいの野生。パーマーク(長円の斑点)が美しい日本の在来種である。場所を少しずつ上流に移動しながら次々とヤマメが釣れる。アユ釣りの友舟に1匹ずつ入れていった。

オニチョロ

 

八溝川では川育ちの野生ヤマメのほか、漁協が放流したヤマメも釣れる。今回の釣行は放流地点から遠く、増水した川が通常水位に戻る「引き水」という好条件も重なって、野生ヤマメがたくさん釣れた。

渓流釣りの面白みは、川底の石の下の水生昆虫を餌にするところ。よく釣れる虫、釣れない虫などさまざまで、実際に針に刺して試しながら学んでいく。餌探しをしていると「なんでこんな生き物が!」と驚いてしまうことも多い。

餌のヒラタが尽きると、キンパクとオニチョロを針に刺す。オニチョロは硬いのであまり釣れるイメージはないが、小型なので問題なく釣れた。

この日は野生ヤマメが14匹、放流ヤマメが6匹だった。放流ものはヒレの欠損で容易に見分けられる。写真を撮って菜の花畑が美しいところで流れに返した。近頃はスマートフォンで手軽に写真が撮れる。どうしてもヤマメを食べたいとき以外、思い出として写真に残し、リリースしている。

八溝川の美しい流れを、次の世代にも楽しんでもらいたいと願っている。(奔流倶楽部渓夢・上谷泰久)