聴覚障害者を支援 「手話マーク」など助け求めるグッズ制作 工房ふくろう 茨城・水戸

茨城新聞
2024年4月17日

聴覚障害者が、手話のできない人など周囲に助けを求めやすくしようと、茨城県水戸市千波町の聴覚障害者就労支援施設「工房ふくろう」は、耳が聞こえないことを示し配慮を求める「耳マーク」や、コミュニケーションの手段を一目で表す「手話マーク」と「筆談マーク」のキーホルダー、缶バッジを制作した。

同施設は、耳が聞こえない障害者たちが自ら主体となって運営する県内唯一の聴覚障害者就労支援施設。利用者24人スタッフ8人のうち、健聴者は3人のみで運営し、オリジナル小物の制作をはじめ、企業から刺しゅうや梱包(こんぽう)などの軽作業を受注している。

制作したキーホルダーや缶バッジは各3サイズを展開。同工房が出店するイベントなどで販売をはじめ、各地域の聴覚障害者協会と連携して普及、販売したい考え。普段の生活で周囲に助けを求める際に、自身が聴覚障害であると伝えたり、手話や筆談が可能な人を探す目印としてかばんや衣服をはじめ、普段から身に着け、周囲に配慮を求めるヘルプマークと一緒に装着を想定して開発された。

制作を担当するのは利用者の2人。聴覚障害のほか半身にまひもある後藤誠さん(43)が、図柄が印刷された用紙を缶バッジと一緒にプレス機で接着。キーホルダーのチェーン部分は大山四郎さん(69)が、小さな部品をペンチを使って接続する。

「手話マーク」と「筆談マーク」は全日本ろうあ連盟、「耳マーク」は全日本難聴者・中途失聴者団体連合会が著作権を有し、マークを営利目的に利用することを禁じていたが、聴覚障害者の就労支援の目的ということが認められ、許諾を得ることができた。

後藤さんは「聴覚障害者や手話ができる人が見てすぐ分かるように積極的に使ってほしい」、大山さんは「手話マークや筆談マークの認知度が低く、グッズを作ることで周知につながれば」と、それぞれ話した。