偕楽園、表門の利用促進 茨城県、バス降車実験 混雑緩和や陰陽の魅力
日本三名園の一つ、偕楽園で、茨城県は本来の正門に当たる「表門」からの入園を促す取り組みを強化する。現在は「東門」に集中して混雑し、表門からの順路による「陰陽の世界」を味わうことなく帰る観光客も多い。表門周辺で大型観光バスの降車場を設ける社会実験を行うほか、タクシーの乗降場を整備する。10日に開幕する水戸の梅まつりに合わせ、利便性と魅力の向上につなげる。
県は社会実験として、表門に近い県有地を活用し、大型観光バスの降車場とする。乗客は表門から園内を散策後、東門から退出。この間に「千波湖西駐車場」へ回送したバスに乗る。まつり期間中の21日~3月17日の計26日間行う。旅行業者を対象に降車場の利用を募る。
降車場の周辺は大型自動車の通行を禁止する交通規制があり、実験参加車両に限って通行可能となる。参加する業者や乗客らを対象に利便性に関するアンケートを行い、降車場の常設や通年での交通規制の在り方についても関係者と協議していく。
タクシー乗降場については、障害者向けの駐車場、駐輪場などを一体化させた施設を表門付近に完成させた。工事費は約7千万円。10日に供用を始め、タクシー事業者にも積極的な活用を呼びかける。
県都市整備課によると、人出が集中する梅まつり期間中、来園者の約6割が東門から入園する。期間中、周辺で大型バスが唯一利用できる千波湖西駐車場や臨時のJR偕楽園駅から最寄りの門であることが影響している。
来園者へのアンケート調査では、東門からの入園を念頭に「門に向かう経路が上り坂」「入園券の購入などで混雑」「大型バスの駐車場から遠い」-などとする意見が目立つという。
偕楽園は水戸藩の第9代藩主、徳川斉昭が1842年に開園させた。正門に当たる表門から入り、竹や杉の林に囲まれた陰の世界を経て、好文亭や見晴広場からの眺めを陽の世界とする。
県都市整備課の担当者は「表門から入園し、偕楽園に込められた思想に触れてもらうことで、魅力を再発見してほしい」と話している。
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