乳酸菌活用し発酵甘酒 「米の飲むヨーグルト」 茨城・桜川の西岡本店と県、共同開発

茨城新聞
2023年12月4日

日本酒「花の井」などの銘柄で知られる西岡本店(茨城県桜川市真壁町田、西岡勇一郎社長)と同県イノベーションセンターは、県独自の植物性乳酸菌を活用した発酵甘酒「米の飲むヨーグルト」を共同開発した。若い世代を中心にアルコール消費量が落ち込む中、酒造りで培った技術を生かし、新たな需要の掘り起こしを目指す。

開発した発酵甘酒は、同社の既存商品「食べるあまざけ」と、県が開発した乳酸菌「IBARAKI-TS1株」を組み合わせ、ヨーグルト風味に仕上げた。内容量は200グラムで価格は1本540円。

糖類や保存料を一切使用せず、無添加、ノンアルコールが特徴。原料には同市産のコシヒカリ米や同社の米麹(こうじ)、筑波山系伏流水などを使い、地元産にこだわる。健康志向の高まりを受け、体に入る食品にこだわる人やスポーツでの補給食などを想定し、子どもから高齢者まで幅広い世代の購入を見込む。

入れ物として、サイクリング等での補給食に便利なスタンド型のスパウトパウチを採用。瓶などの場合は捨て場所に困るといった課題があったが、パウチにすることでより手軽に手に取ってもらえるよう意識した。

開発の背景には、日本酒の需要減が理由の一つという。新型コロナウイルスの影響で冠婚葬祭や宴会の機会が減ったほか、若者のアルコール離れの状況でもある。そのため、アルコールを含まない商品を開発することで、需要の創出に取り組む。

発酵甘酒は将来的に年間売上高1千万円規模を目標にする。同社店頭のほか、公式オンラインストアや水戸駅にある「いばらき地酒バー水戸」(水戸市宮町)などで販売を始めた。今後はサイクリングイベントをはじめ、出店ブースでも販売していく。

西岡社長は商品化まで約1年かかった苦労を振り返り、「特に味わいは日本酒造りの技術があってこそ完成できた」と説明する。「日本酒でも発酵甘酒でも菌との対話が大事だと改めて感じた。幅広い人に飲んでほしい」と期待した。