いばらき御朱印めぐり》神栖市・息栖神社 霊泉・忍潮井にパワー
■東国三社の一角をなす
パワースポットが随所にある三角地帯として注目を浴びている「東国三社」。茨城県神栖市の息栖神社は鹿島神宮(同県鹿嶋市)、香取神宮(千葉県香取市)とともにその一角をなす。江戸時代に生まれたという「東国三社参り」は、伊勢参宮の帰路に寄る「下三宮詣で」として行われたり、江戸庶民にとっては3~4泊の遊覧船観光として盛況だった。現代でも人気ぶりは健在。今年の正月には三社共通のお守りが完売してしまい、希望者2100人に後から郵送したほどだ。観光バス台数から推定した参拝者は年間約20万人に上る。
御朱印は1種類。「東國三社」と墨書し「息栖神社」と書かれた朱印を押す。赤と白のサイコロのような印は、三笠宮崇仁親王から下賜された水晶製の印で「参拝記念」の文字が入っている。東国三社共通のお守りもある。三角柱の各面にそれぞれの神紋シールを貼れば、東国三社参りの記念品が出来上がる。
創建は神話の時代、第15代応神天皇の西暦194年ごろ。社伝によれば、息栖の神は東国征伐に派遣された鹿島・香取両神宮の神を案内する役として東国に至り、征討後には神栖市日川地区に祭られたという。807(大同2)年、右大臣の藤原内麻呂の勅命で現在地に移転した。
主祭神は久那戸神(くなどのかみ)と呼ばれる道祖神。井戸の神でもある。ともに祭られている相殿神(あいどのしん)には、天鳥船神(あめのとりふねのかみ)、住吉三神(すみよしさんしん)。道の神や海上交通の守護神が祭られている。天鳥船神は国譲り神話で鹿島の神とともに派遣された神だ。
「うちの最大のパワースポットは『忍潮井(おしおい)』」と力を込めるのは、同神社の運営管理を担う氏子総代会事務局の大塚光男さん(74)。一帯が海であった時代に、真水がこんこんと湧き出した不思議な井戸だ。常陸利根川沿い、一の鳥居の両側に男甕(おがめ)・女甕(めがめ)と呼ばれる井戸があり、男甕の底には銚子形、女甕の底には土器形のものが沈んでいる。日本三霊泉の一つだ。
ほかに、別名夫婦杉といわれる樹齢約1000年のご神木や、オガタマの木(招霊の木)と名付けたモクレン科の樹木がある。
神栖市が来年度中に展望台や物販施設を整備する計画もあり、「参拝客にとって魅力が増せばうれしい」と関係者は口をそろえる。(第1土曜日掲載)
■メモ
アクセス:水戸から国道51号などを経由して約1時間半。鹿島神宮や香取神宮からは車でそれぞれ約20分。
住所:神栖市息栖2882
電話:0299(92)2300
受付時間:午前8時半~午後4時
御朱印:「東國三社」と墨書した1種類。300円。東国三社守りは本体1000円、社紋シール500円。
補足:三霊泉はほかに伊勢の明星井、伏見の直井。東国三社を訪れた文人墨客には松尾芭蕉や伊能忠敬、吉田松陰、小林一茶らがいる。