「刻狸」全国グランプリ 茨城・古河 篆刻美術館キャラクター 「親しみやすい顔立ち」

茨城新聞
2023年11月3日

茨城県古河市中央町の篆刻(てんこく)美術館のマスコットキャラクター「刻狸(こくり)」が「ミュージアムキャラクターアワード」でグランプリに輝いた。制作した同館スタッフの田宮なつみさんは「篆刻は高齢者の趣味というイメージが強いが、受賞を入り口に若い人にも興味を持ってもらいたい」と期待感を示している。

刻狸は左手に石を彫る「印刀」を持ち、3本の筆を背負う。篆刻の道具に宿る付喪(つくも)神との位置付けだ。はんこを押す際の「ポン」という音と、同館の中庭に古くから置かれている陶製タヌキの置物をヒントに考案した。2021年夏ごろに制作を始め、何度か手直しを加えながら22年7月に完成した。

コンテストは、国内最大級のミュージアム情報サイト「インターネットミュージアム」が10年から実施している。刻狸は初めて参加した22年に9334票を獲得し、新人賞を受けるとともに総合4位に入った。今回は全国の博物館や美術館58館から自慢のキャラクターが出展され、投票総数10万9377票のうち2万2360票を集めた。

グランプリ獲得の理由について、田宮さんは「親しみやすい顔立ちが若者の支持を集めたのではないか」と分析する。3月から5月に票が伸びていることから、古河歴史博物館がオンラインゲーム「刀剣乱舞」と連携した特別展「かえってきた堀川国広」に来場した若い女性客を中心に投票があったとみている。

同館は全国初の篆刻専門美術館として1991年に開館。2021年に30周年を迎えた。