北茨城の旅館 あんこう鍋、ふるさと納税の返礼品に 処理水放出で輸出できず
茨城県北茨城市平潟町の「あんこうの宿まるみつ旅館」(武子能久社長)は、福島第1原発の処理水の海洋放出を巡り輸出できなくなったあんこう鍋セットやあん肝ラーメンを、市のふるさと納税の返礼品に充てる取り組みを始める。主な輸出先の香港では茨城県などの水産物の輸入規制が続いている状況。商品は10月末から提供する考え。
同旅館は地元特産のあんこう鍋やあん肝ラーメンの輸出事業を手がける。香港には昨年12月から計3千食以上を送ったが、当局による輸入規制を受けて夏ごろから停止した。輸出用には冷凍で計約2千食の在庫を用意していた。処理水問題との関連性は明らかではないが、シンガポールや試験的に輸出したベトナム、インドネシアでも新たな注文の動きはない。
今回、返礼品には常磐沖ブランドのPRに向けて考案した新たなキャラクター「あんパンダ」のシールを貼る。キャラクターは市特産のアンコウと、輸入規制が続く中国でも人気のパンダがモチーフで「双方の架け橋になってほしい」(同旅館)との願いも込めた。武子社長は「商品を味わってもらうとともに、処理水問題の解決に向けて地元を応援してもらえれば」と話した。
ふるさと納税の寄付額は鍋セット2人前が2万円、ラーメン2玉が8000円から。市企画政策課によると、ふるさと納税を活用し、輸出在庫を提供するケースは市内で初めてという。