国史跡「春秋館跡」内部、初の一般公開 蚕種貯蔵の歴史学ぶ 群馬・下仁田町

上毛新聞
2023年10月7日

世界文化遺産、荒船風穴(群馬県下仁田町南野牧)の経営母体だった国史跡「春秋館跡」(同町西野牧)の内部が9月30日、初めて一般公開された。同日、町内で開いた「第4回セカイト講演会」(県立世界遺産センター、町共催)の参加者ら40人が訪れ、蚕種貯蔵の歴史を学んだ。

春秋館は荒船風穴の創業者、庭屋静太郎の自宅兼事務所で、1905~38年ごろに営業。風穴に貯蔵する蚕種紙の受け付けや一時保管などを担った。

営業終了後は庭屋家が管理し、2017年に町に寄贈。21年に国史跡「荒船・東谷風穴蚕種貯蔵所跡」に追加指定された。

学術関係者を除き、初めての公開となったこの日は自宅兼事務所だった「主屋」の2階部分や、土蔵と蚕室が立ち並ぶ庭を開放。見学者は興味深そうに主屋内を見たり、蚕種貯蔵の仕組みなどを町歴史館の職員に質問したりした。

富岡市の実家で蚕種業を営んでいたという泉部正子さん(78)=同市=は「実家で扱った蚕種もこの場所を経由していたのかもしれない」と懐かしんだ。

町は23年度中に春秋館跡の保存活用計画をまとめる方針で、将来的な常時公開も検討している。

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