栃木・那珂川の小砂焼に新しい風 ピンク染めの小鉢、ぐい飲み…「かわいい」インスタでも反響

下野新聞
2023年9月27日

築窯160年の伝統を持つ栃木県那珂川町小砂(こいさご)の藤田製陶所で、ピンク色に染められた陶器が来店客の目を引いている。藤田真一代表の長男悠平さん(31)が今年7月ごろ、「渋さとは真逆の物を」と作り始めた。悠平さんは「伝統も大切にしつつ、陶芸に触れる入り口を広げていきたい」と意気込んでいる。

悠平さんは約10年前、実家で営む陶芸の道に進んだ。東日本大震災で実家の登り窯が壊れるなどの被害を目にし、「何か力になれないか」と思ったのがきっかけだった。

小砂焼は、茶色に金色をちりばめたような「金結晶」が代表的な色合いとされる。ピンクの陶器を思いついたのは、取引先の雑貨店業者との会話がヒントだった。

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製陶所の店内に茶色系の陶器が多いことを指摘され、「見慣れすぎていて感じられなかった。色を変えることで雰囲気も変わるのでは」と思い至った。

もともとあった釉薬(ゆうやく)にピンクの染料を入れることで、ピンク染めができるようになった。「色の濃さやほかの色との配色など、まだまだ試行錯誤中」という。

ぐい飲みや小鉢、コップといった品を数百個作った。「ピンク出たんだ。かわいい」などと若い女性らから好評で、インスタグラム上では、ピンクの陶器を載せると反応が多いという。

悠平さんは「金結晶には金結晶の良さがあるが、若者や子どもにも陶器を一度手に取ってほしい。緑や黄色も構想中です」と笑顔を見せた。

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