《中之条ビエンナーレ》現代アートが山あいの町に息づく 10月9日まで 

上毛新聞
2023年9月28日

群馬県中之条町を舞台にした国際現代芸術祭「中之条ビエンナーレ」(町など主催)が、10月9日まで開かれている。9回目を迎える今回は国内外125組の作家が参加し、展示会場は五つのエリアの計約40カ所に及ぶ。のどかな山あいの町を現代アートが彩っている。

「沢渡暮坂エリア」の丸伊製材には、今回最年長の76歳、石坂孝雄さんの「フンコロガシ―空想・くそ虫の旅―」がある。作業工程は多岐にわたり、フンコロガシが転がす球体の土付けなどに多くの町民が協力した。「鑑賞した人は『分かりやすい』って喜んでくれる」と石坂さん。6回目の参加となる今回で“卒業”という。

「四万温泉エリア」の旧第三小学校では、教室や校庭などに15組が作品を公開する。体育館を埋め尽くすような巨大な絵画は、いくらまりえさんの「HELLO」。館内に張った布に描いていく制作の過程を、こま送り動画でも紹介している。

校舎1階には黒く塗られた小部屋がある。中央には白い枠が積み重なり、電球に照らされている。湯沢五(いつつ)さんの作品「morī―第1幕(土・経血・誕生)―」。「蚕という種をメタファー(隠喩)として、人類の進化を象徴化する試み」という。

「市街地エリア」の旧廣盛(ひろざかり)酒造には8組が展示する。鹿野裕介さんはかつての酒蔵にちなんで「醸しの間」という作品を発表。天井からつるされた木のパネルに大小のカラフルなボールが載っている。パネルを優しく揺らせばボールが転がり、「醸せる」仕掛けになっている。

観覧は午前9時半~午後5時。全会場を鑑賞できるパスポートは1500円。高校生以下は無料。問い合わせは中之条ビエンナーレ事務局(☎0279-75-3320)へ。

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