八ツ場ダムへの思いを演劇に 「表現ユニットえんぶる」が群馬・前橋市で9月2・3日に上演

上毛新聞
2023年8月30日

群馬県長野原町の八ツ場ダム建設をモデルにした群像劇「僕たちの町は一か月後ダムに沈む」が9月2、3の両日、前橋市の大胡シャンテマルエホール(市民文化会館大胡分館)で上演される。伊勢崎市を拠点に活動する「表現ユニットえんぶる」(上田裕之代表)が主催。14年前に、政権交代を機に書かれた物語で、フィクションであるものの出演者と制作陣が同町を訪れて感じた思いを作品に込めている。

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えんぶるは2017年に発足。県内で公演やワークショップを行い、演劇の魅力を伝えている。

物語は、ダムに沈む町で生まれ育った若者たちを描く。試験湛水開始を1カ月後に控えた水没地域の中学校の廃校舎を舞台に繰り広げる。

校庭に埋めたタイムカプセルを開けようと集まった12人はかつて、ダム建設反対を掲げ教室に立てこもった仲間。それぞれが大人になった中で秘めていたものを、タイムカプセルを掘り出しながら明かしていく。

脚本は2009年、上田代表が東京都内で組んでいた演劇ユニット「3LDK」の佐藤秀一さん(福島県出身)が手がけた。同年に初演し、その後は都内の別の劇団などが上演してきたが、県内では初めて披露される。

町を二分するほどの大きな出来事に翻弄(ほんろう)された人々の等身大の姿を描くことで、「大切な場所や人、思い、失われるもの、残されるものを前に、人は何を見いだすかを伝えたい」と上田代表は意気込む。

えんぶるは、演目に応じて俳優を募り制作しているが、今回は県内で活動する人で多くを構成した。昨年10月から稽古を始めたメンバーは、八ツ場ダムや水没地区から移築した旧長野原一小校舎など町内を訪れ、作品を通じて伝える思いを共有した。

出演する田村花恋さん(28)=伊勢崎市=は「群馬の私たちだからこそ、古里や仲間の物語として真に迫った表現ができるのではないか」と話す。

2日は午後1時と同6時、3日が正午開演。チケットは一般2000円(当日2500円)、中高生1000円、小学生500円。問い合わせはえんぶる(☎070-9016-3277)へ。

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