アユ遡上、昨年上回る 茨城内、6月1日解禁 久慈川 投網10投平均200匹超も

茨城新聞
2023年5月31日

茨城県内のアユ釣りが6月1日、解禁となる(一部支流は7月1日)。久慈川と那珂川での投網調査で遡上(そじょう)を調べてきた県水産試験場内水面支場は昨年同期を上回るアユを確認。特に久慈川は投網10投当たり平均200匹を超える日も多く「前年同期比では近年になく多い」とみている。

漁協関係者も「4月下旬には天然物が帯状になって遡上するのが見られた。今年は楽しみ」と期待を寄せる。新型コロナの感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じ「5類」へ移行したことと相まって、天候さえ良ければ1日は昨年を上回る愛好者らが県内河川に繰り出すとみられる。

久慈川(6月1日解禁)では2月中旬に河口から8キロ上流の堅磐堰(かきわせき)で今期初となるアユを確認した。遡上量は徐々に増え、内水面支場の3月末調査では、投網10投平均でこれまでの最高850匹の稚アユを確認した。その後の調査でも4月中旬440匹、同下旬498匹、同月末286匹といずれも200匹以上を記録している。

同支場は「毎年、平均で100匹を超すことはあったが3月後半以降7回も連続(5月11日現在)するのはまれ」と驚きを隠せない。

気温に左右される河川水温は、3月は例年より3~5度高めで推移。4月は例年並みだった。この上下の影響について同支場は「定かではないが、春先の海水温が高く、遡上が早まったのは間違いない」と話す。

いずれにしても天然物はすでに福島県など上流まで達しているとみられ、漁協関係者も「こんなに大量のアユが上った年はない」と口をそろえる。

天然アユの好調ぶりについて、那珂川漁業協同組合の添田規矩組合長は「ここ10年、重機で川床を掘り返して泥や砂を流し、浮き石を造成してアユが産卵しやすい環境を整えてきた。秋の産卵期に水温が高めだったのもよかったのではないか」と話す。

県内各漁協では今月末までに昨年並みの放流を実施。漁協関係者からは「6月は放流アユが大きいが、シーズンが深まれば天然物も成長して追い付く。はみ跡も見られるので、遡上は(例年より)明らかに多い」との声が聞かれた。

ここ数年、遊漁者が減っており各漁協の日釣り券売り上げは横ばいか減少傾向。漁協組合員の高齢化と減少など課題のある中、放流に頼らず「資源として増やす」ことを狙いに、河川の力を生かした持続可能な繁殖の試みが続く。

▼各漁協の放流状況

【久慈川】5月下旬までに、福島県境から常陸太田市内にかけて9カ所で放流。6月下旬には各支流でも予定し、合計は2100キロ。本流は6月1日午前5時解禁。八溝川、里川や押川などの各支流は7月1日午前5時解禁。アユ資源保護のため10月1~7日の1週間は全域で休漁。久慈川漁業協同組合(電)0295(52)0038。

【那珂川】5月下旬までに本流は水戸市飯富の1カ所、支流の藤井川2カ所、緒川1カ所で合わせて1000キロを放流。6月1日午前0時解禁。藤井川と緒川は7月1日午前0時解禁。那珂川漁業協同組合(電)029(288)3034。

【大北川・花園川】5月上旬に大北川と支流の花園川、両河川計6カ所で計300キロ。大北川漁業協同組合(電)0293(43)2566。

【鬼怒川】5月下旬に筑西市の1カ所で、計約200キロを放流。鬼怒小貝漁業協同組合(電)0296(28)0035。