《食いこ》茨城レストラン フェリチタ(茨城町) 地産地消、完全フルコース

茨城新聞
2023年4月29日

イタリア料理店として2010年にオープンしたフェリチタ(茨城県茨城町)が、席数を28から16に減らし、水戸市浜田町から現在地に移ったのはちょうど1年前。それを機に定番メニューをそろえるのをやめ、シェフによる完全お任せのフルコース料理提供に踏み切った。

「メニューに必要な食材をそろえて調理するのではなく、逆に季節ごとの食材からどんな料理に仕立てるかを考え、メニューを決める」とオーナーシェフの高橋哲朗さん(41)は経緯を説明する。「一皿一皿に集中して提供したい」ためでもあるが、食材の仕入れや管理、ロスをなくすという合理的理由もあった。

コース料理のメインのとなる肉料理を味わった。表面に焼き色を付けただけの牛ヒレ肉を中央に配し、サヤエンドウ、アスパラ、葉物が囲んで目にも鮮やか。ソースがアクセントを付ける。肉をかみしめると、軟らかではあるがしっかりとした歯応え。牛肉の香りが鼻に抜け、肉は舌の上で躍りながらソースの風味を残して、あっという間に喉を過ぎていった。

シェフが焼く自家製パン

牛肉は花園牛や常陸牛と決めている。豚肉は霜降りハーブ豚、鴨(かも)肉は完全放し飼いのカモ、鶏肉もブランド肉を取り寄せる。いずれも県内の有名ブランドだ。野菜、果物は旬の地場産品を使う。魚のみ一部県外のものを使うことも。パンは自家製が5種類。

県産食材を厳選し、いちずに地産地消を追求するのは「料理は独学。最初は包丁の持ち方も分からなかった」という異色シェフの確固とした信念から。「各地方に特産の食材があって、それを調理してメニューを創造するのがイタリアの料理。海外の食材、美味、珍味もいいけれど、その地で産した旬の食材を最大限生かしておいしく味わうのが本来のイタリアンではないか」と考えるからだ。

入り口にはレストラン自慢のロゴが飾られている

独立するまでイタリア、フランス料理の店で働きながら料理を学んだ。食材の組み合わせと調理法、発想の吸収に努めた。食材の下処理、調理の手順なども工夫を重ねた。各地を食べ歩いて味付けの研究もした。「遅いスタートの差を埋めようと必死だった」という。料理人を志し無手勝流で20年。「茨城ならでは」の味を探る。

お出かけ情報
茨城レストラン フェリチタ
▽茨城県茨城町大戸2780の6
▽完全予約制。営業時間はランチ正午~3000円、6000円、ディナー午後6時~6000円、8000円、1万円
▽定休日は月曜、不定休。
▽(電)029(350)8446