《旬もの》タケノコ(茨城・牛久市) えぐみ少なく甘みと香り

茨城新聞
2023年3月28日

「旬」の「竹」と書いて「筍(たけのこ)」。春の味覚として欠かせない食材だ。うっそうとした竹林のやぶに分け入って、顔を出した穂先から20~30センチ下を掘り起こすイメージが強い。しかし「女化たけのこ園」(茨城県牛久市女化町)の竹林は全く異なる。

同園を訪ねると、切り回す安部亜紀さん(41)がタケノコ掘りのエンピ(農業用スコップ)を手に竹林で出迎えてくれた。一本一本十分に間隔を空けて林立する竹。下草はきれいに刈られ、せいせいと見通せる。竹のチップに覆われた足元は木漏れ日が差して明るい。踏みしめると、ふわふわとした感触が心地よい。

この美しい竹林は、もともと畑だった所に竹を移植してつくられ、タケノコの畑として60年の歴史を誇る。都内の出版社で編集者だった安部さんが、結婚を機に就農したのが2007年のこと。やがて同園の管理を任された。草を刈り、古くなった竹を切り、それに代わる竹を育て、タケノコを掘る-を繰り返してきた結果、それまで以上に整った竹林に育った。

安部さんによると、同園ではタケノコの先端を折り取るのではなく、周囲を掘り込んで地下茎から切り離して収穫する。穴は土、草や竹チップで埋め戻す。これが「竹林を耕すことになり、入り組んだ地下茎を整理し、新しい竹の成長を促す」ことになる。

竹林には古い竹のチップがまかれている

 

「竹林は同じように見えて、毎年全体が更新されて今年の竹林の風景が出来上がり、持続していくのです」と生態サイクルを解説する。さらに「タケノコの味は竹林の土の状態で決まります」とも。

緑肥や発酵したぬかをすき込んで畑と同等、いやそれ以上の管理をして土を作り、整える。そうして育ったタケノコは「えぐみ」が少なく、それを上回る甘みや香りに満ちて、独特の味わいと歯応えも含めて人気だ。

「旬にしか食べられないおいしいタケノコを地域の人、茨城の人に食べてもらいたい。そのために受け継いだ竹林を守り育てていかなくては」と心に決める安部さん。今年も園内に直売所を設ける。今後は、牛久の竹やぶを観光資源にしたり、伸び伸びと走り回れる子どもたちの遊び場にしたりできたら、と思いは尽きない。

■メモ
女化たけのこ園
▽牛久市女化町51
▽(電)080(9570)1619
▽ファクス029(869)5630
▽取り扱いは直売で。販売情報はホームページ(http://onabaketakenokoen.com/)の問い合わせフォームからメール配信を希望するか、ライン登録で。