塩原さん多数の未発表作 3月末まで前橋で回顧展

上毛新聞
2023年2月7日

群馬県前橋市出身の日本画家で、群馬県文化功労賞を受賞した塩原友子さん(1921~2018年)の回顧展が、同市古市町のヤマト本社1階ギャラリーホールで開かれている。塩原さんが最晩年まで愛した同市内のアトリエから見つかった多くの未発表作を含む77点を紹介している。3月31日まで。

塩原さんのめい、関口正子さん(66)=同市=が昨年3月、塩原さんのアトリエを片付けた際に見つかった約100点を同社に寄贈した。大半が未発表作品で、題名すら残っていないものも少なくない。ヤマブドウやチョウなどを描いた最初期の作品には、当時使っていたという雅号「杏花」が記されている。

同社は地元画家の作品を後世へ残そうと、1年ほどかけて作品の修理や額装をし、回顧展の準備を進めてきた。中には劣化が進み、裏打ちなどの修繕に2カ月ほどかかった作品もあった。同社は「今やらなければ(劣化が進み)絵がなくなってしまう。地元画家の生涯を伝えたいと思った」としている。

回顧展では、18、19歳ごろに描いた初期の作品や、バスケットボールをしている様子を描いた人物画、1963年の渡欧時に旅先の風景を描いた油彩画、淡い色彩が目を引く神仏画など幅広い作品が並び、塩原さんの生涯を感じられる。

同社グループが建設などに携わった道の駅「まえばし赤城」が3月に塩原さんの出身地、同市田口町に開業することを記念して開催した。関口さんは「初期から近作まで見ることができ、自分もうれしい。叔母の自由な発想を感じてもらえたら」と話している。

作品群は今後も同道の駅内や同社本社ギャラリーホールで展示する方針。

入場無料。午前10時~午後5時。土日休館(祝日の場合は除く)だが、塩原さんの命日である1月28日は開館する。2月21日から一部展示替えする。問い合わせは同ホール(027-290-1800)へ。