日常の一瞬を切り取る スナップ100点 茨城・笠間で陶芸家・八木一夫「写真展」
戦後陶芸界のカリスマ的存在だった八木一夫(1918~79年)=京都府出身=が撮影した写真を紹介する展覧会「カメラを手にした八木一夫」が、茨城県笠間市笠間の県陶芸美術館で開かれている。日常の一瞬を切り取った魅力的なスナップ写真100点をパネルで展示。陶芸家とは別の一面を紹介している。3月12日まで。
八木は、陶芸の世界にオブジェ(用途を持たないやきもの)という新しい造形分野を切り開き、独特のブロンズやガラスの陶芸作品を発表した。その傍ら写真にも関心を持ち続け、スナップショットの撮影でも才能を発揮した。
見どころは、八木の独特な視点。被写対象となったのは家族、動物、樹木、建物、人の行き交いなど生活に溶け込んでいる事物。展示写真からは、日常の「小さな発見」にカメラを向けていたことが分かる。
中でも、人を捉えた写真は人間味あふれるものが多い。冬の清水寺(京都市東山区)で雪合戦をする女性や、雨の降る野球場の客席で試合を見る少年の写真などはほほ笑ましく、ぬくもりが伝わる。
今展は、八木家に残る数千カットのフィルムの中から魅力的と思われるものを選び出した。多くは1960年代、八木が暮らした京都府で写されたもので、当時の京都の様子も分かる。
同館学芸課長の花里麻理さんは「八木は日常の面白い瞬間を探して写真にしている。その面白さを見てほしい」と話している。会場内はスライドショーでパネル以外の写真も紹介している。
午前9時半~午後5時。観覧料一般320円、満70歳以上160円、高校・大学生260円、小・中学生160円。月曜休館。