幻の駅 薫るレトロ 茂木・長倉線「下野中川」 希少な車掌車設置

下野新聞
2023年1月19日

未成線「長倉線」の観光資源化を進める茂木町は18日、東京都内で保管されていた全国でも希少な旧国鉄時代の車掌車1両を、幻の「下野中川」停車場跡(同町河井)に設置した。

車掌車は1962年製で長さ7.8メートル、重さは9.5トン。鉄道愛好家から町が譲渡を受け、都内からトレーラーで運搬した。

この日午前9時、停車場跡に20メートル敷いてある100年以上前の古いレールに車掌車を載せる作業が始まった。大型クレーン車でつり上げられ、レールにゆっくり着地。一瞬、車輪がわずかに動いた。

「しもつけなかがわ」と書かれたレトロな駅名標と、60年前の車掌車が山里に昭和の薫りを漂わせ、関係者は「完璧」との声を漏らした。作業を見守った地元の古田土志郎(こだとしろう)河井上区長(75)は「すごい。大勢の人に見てもらい、地域の活性化につなげたい」と笑顔を見せた。