二人三脚の日々紹介 益子でパネル展 今も息づくワグナー夫妻 晩年の絵画「夫婦」初公開

下野新聞
2022年10月29日

【益子】町内で創作活動を続けたハンガリー出身の彫刻家ワグナー・ナンドールさん(1922~97年)と昨年亡くなった妻ちよさんの足跡を紹介するパネル展「ワグナー夫妻の日々」が益子のワグナー・ナンドールアートギャラリーの五角堂ギャラリーで開かれている。パネル展の開催は生前のちよさんの願いで、ナンドールさんが晩年の1996年に制作した絵画「夫婦」も初公開されている。

パネル展は、ナンドールさんの生誕100周年記念と、ちよさんが生前に残したメモに「ワグナー夫妻の日々」の名称で展示会を開いてほしいという意向が記されていたことを受けて企画された。アートギャラリーの「秋季展」に併せて開催されている。

展示されている「夫婦」は岩絵の具の作品で、縦約90センチ、横約180センチ。折れたり曲がったりしている松が、困難な中でも寄り添って暮らす夫婦の姿のように見えるという。

ギャラリーの小方良子(おがたよしこ)さんによると、作品の制作過程でも夫婦にまつわるエピソードがある。作品の右上にある月のような点は、ちよさんがナンドールさんから、「どこに入れる」と聞かれたのだという。作品の点の場所がちよさんが示した場所かは分からないが、生前にちよさんが話していた。

このほか、会場にはナンドールさんの制作風景や2人を収めた写真パネルなどが並んでいる。現在、ハンガリーの首都ブダペストの現代美術館で開かれているナンドールさんの生誕100年特別展の様子を撮影した映像も投映されている。

小方さんは「ちよさんが亡くなり寂しいが、2人の思いはこの地に息づいている。ぜひ訪れてしのんでほしい」と話している。

11月15日まで。午前10時~午後4時(入館は3時半まで)。月曜休館。入館料大人1500円、高校・大学生千円。(問)同ギャラリー0285・72・9866。