篆刻家・生井子華の企画展 茨城・古河 11月13日まで

茨城新聞
2022年10月28日

茨城県古河市ゆかりの篆刻(てんこく)家・生井子華(いくいしか)(1904~89年)らの作品を紹介する企画展「篆刻家 生井子華展」が11月13日まで、古河市の篆刻美術館と古河街角美術館で開かれている。子華が生前に公募展に出品した作品を中心に、合わせて約100点を展示している。

子華は印章業を営む旧家に生まれ、書家の西川寧(やすし)に師事。49年と51年に日展で特選を受賞し、確固たる地歩を築いた。81年に紺綬褒章を受章。同市は91年、当時、書道界や篆刻界の重鎮だった青山杉雨(さんう)、小林斗盦(とあん)らの賛同を得て、子華の業績を顕彰する全国で唯一の篆刻を専門に扱う美術館をオープンした。

同展は子華を中心に師匠の西川、弟子の河野隆らの作品を紹介している。「方寸の世界」ともいわれる篆刻は一寸(3センチ)四方の中で表現の限りを尽くす。制作には豪快に彫っていく大胆さと緻密さが求められる。子華の作風は昭和20年代に特徴的だった緻密さが年を追うごとに変化し、昭和40年代には荒々しい表現に変わっていく。石製の「刻印」そのものと、紙に写した「印影」が対になって展示されており、篆刻の魅力を多面的に味わえる。

企画展スタッフは「篆刻美術館では代表作を常設展示しているが、今回は常設展にない公募展への出品作に注目してほしい」と話している。

午前9時から午後5時(入館は午後4時半まで)。月曜(祝日の場合は翌日)と第4金曜は休み。11月4日は開館。問い合わせは篆刻美術館(電)0280(22)5611。