「将門記」現代語訳に 坂東市作成、企画展で公開
平安時代中期に坂東市付近を拠点に活動した武将、平将門について市民に理解を深めてもらおうと、坂東市は新庁舎開庁記念事業として軍記物語「将門記」の現代語訳を作成した。市内の書家3人は漢文と読み下し文、新たな現代語訳の3種の「将門記」を書写した。完成した巻子(かんす)が、同市山の坂東郷土館ミューズの企画展「坂東市本 将門記~将門伝説と古代東国の騒乱」で初公開されている。入場無料。会期は12月25日まで。
東国の武士団を率いた将門は朝廷に対し反乱を起こし、現在の東京で討ち死にしたとされる。しかし将門は後年、神田明神(東京)などの神社に神として祭られ、悲劇の物語が歌舞伎や錦絵などの題材となり、民衆文化の中に定着。現代に継承されている。
将門の記録を伝える将門記は現在、古い写本が2点残されている。しかし原文は漢文で記されており、一般市民には直接親しみにくい欠点があった。
市は今回、将門研究家の研究を基に、原典の漢字の誤りなどを訂正した漢文と読み下し文、現代語訳の3種類の将門記の書写を、市内の書家3人に依頼。漢文の巻子(全長約22メートル、計3巻)は初見太清氏、読み下し文の巻子(全長約30メートル、計3巻)は染谷曠邨氏、現代語訳の巻子(全長約33メートル、計3巻)は平勢小喬氏が担当した。
会場では将門記についての解説パネルだけでなく、将門と同時代の寺社跡から発掘された瓦などの出土物、伝説から生まれた江戸時代の錦絵など計約150点が展示されている。将門の伝説に関係した県内外の旧跡や祭りも紹介され、歴史・文化を理解できるよう工夫されている。
板垣隆館長は「将門は歴史の教科書に出てくる郷土の偉人だが、将門記を読んでいる人は少ない。新しい現代語訳を通し、理解をさらに深めてもらえれば」と話している。
同館は企画展に合わせ、新たな現代語訳「将門記」の冊子を刊行し、1冊千円で販売している。問い合わせは同館(電)0280(88)8700。
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