哀愁漂う都会の風景で人気 野田英夫 1日から特別企画展 大川美術館
大川美術館(桐生市小曽根町)は10月1日に始める第100回特別企画展で、米・カリフォルニア州生まれの日系画家、野田英夫(1908~39年)の油彩画を公開する。ワシントンの日本大使館で英語を教えていた米国人女性が日本人の女性職員から譲り受けた作品で、米国人女性の息子のウィリアム・ウィーバー氏が同美術館に寄贈した。
病気で早世した野田は、都会の哀愁漂う風景などを好んで描いた社会派の画家。寄贈されたのは、「ポキプシー」(縦38センチ、横46センチ)という名の油彩画で、37年ごろに描かれたとみられる。工場が立ち並ぶ風景画で、赤色やオレンジ色の建物や円形の倉庫、川に架かる鉄橋などを独特の線描と重厚感のある色彩で表現している。
ウィーバー氏の母親は40年にこの作品を譲り受けたという。ウィーバー氏は「(作品が)日本と米国との友情を育成することを祈念します」との手紙を添えて、野田の作品を多数所蔵する同美術館に昨年寄贈した。
寺田勝彦館長は作品について「戦争の時代に祖国日本とアメリカの間で揺れる複雑な画家の心境が、両者を結び付けるモチーフとして鉄橋を描かせたのではないか」と分析。「贈り主の気持ちに応え、美術館の中心作品の一つとして多くの来館者に見てほしい」と話している。
特別企画展は、同作以外の野田の作品も紹介する。月曜休館。12月18日まで。問い合わせは同美術館(☎0277・46・3300)へ。
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