《子どもサミット》尾瀬の自然 いつまでも

上毛新聞
2016年8月8日

ㅤ「日本の自然保護の原点」と言われる場所が群馬県にあります。片品村に接する尾瀬国立公園です。高い山に囲まれた平らな土地に水辺や草原が入り交じる湿原が広がり、珍しい動植物がたくさん見られます。登山者の心をいやす豊かな自然は、尾瀬を愛する人たちが長年積み重ねてきた努力のたまものです。

◎ごみ持ち帰り 車の通行制限
ㅤ周囲の環境への負担を減らすため、ごみの持ち帰りや車の通行制限は多くの観光地で当たり前となっています。尾瀬で40年以上前からこうした取り組みを進めてきたことが、自然保護の原点と言われる理由です。
ㅤ貴重な動植物を残していくため、尾瀬国立公園がある群馬、新潟、福島の3県は、子どもに学びの場を設けています。7月26~29日には22回目を迎えた「尾瀬子どもサミット」を開き、小中学生60人が本州で最も大きな湿原「尾瀬ケ原」に集まりました。
ㅤフィールド活動では尾瀬ケ原周辺の動植物を観察。木道を進んでいた子どもたちは、湿原の浅い池に浮かぶ葉が気になりました。のぞきこんでいると、案内役の観察リーダーが「未(ひつじ)の刻(午後2時ごろ)に花が開くことから『ヒツジグサ』と名付けられました」と教えてくれました。
ㅤ自然を守るためのさまざまな苦労も知りました。水を汚さないためにせっけんやシャンプーが使えないこと、トイレなどから出る排せつ物の処理にとてもお金がかかることなどを学びました。
ㅤ近年はシカが植物を食べてしまう食害や、開花時期が早まる温暖化といった問題も出ています。尾瀬の“今”を知ると同時に、私たちの身の回りの環境問題に目を向けることが大切になっています。

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