群馬県重文 新たに2件 来月にも指定、計208件に

上毛新聞
2016年8月5日

ㅤ県文化財保護審議会(戸所隆会長)は1日、榛名神社神宝殿(高崎市榛名山町)と、上白井西伊熊遺跡(渋川市上白井)から出土した後期旧石器時代の石器を県重要文化財(重文)に指定するよう県教委に答申した。9月にも答申通りに指定される見通し。県重文は計208件になる。

ㅤ榛名神社神宝殿は、高さ約17メートルの木造の三重塔。屋根に簡素で独特な意匠の装飾がある。慶長年間に建てられ、1869(明治2)年に再建された。当初は釈迦(しゃか)を本尊としていたが、68(慶応4)年の神仏分離令を受け、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)など5神を祭るようになった。
ㅤ県内に唯一現存する木造塔婆(とうば)建物で、神仏分離令を契機とした仏教排斥運動を反映している点が評価された。
ㅤ上白井西伊熊遺跡の出土物で指定されるのは、約2万年前の地層から出た国府(こう)型ナイフ形石器や翼状剥片、素材礫(れき)など6562点。近畿西部から瀬戸内中央部で発達した「瀬戸内技法」で作られた石器やその素材が見つかっており、西日本から東日本へ技術が波及する過程を研究する上で学術的価値が高いと判断された。
ㅤ榛名神社では、社殿や神楽殿、双龍門など6棟が国重文になっている。

 

【写真】榛名神社神宝殿(榛名神社提供)