ロケ支援作品544件 茨城県内21年度、FC コロナ前比9割回復

茨城新聞
2022年10月9日

映画やテレビドラマなどの撮影を自治体が支援する茨城県内のフィルムコミッション(FC)事業で、県は25日までに、2021年度のロケ支援作品数が前年度比58%増の544件だったと発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響でロケーション撮影が低調だった前年度に対し、主に東京圏からの日帰りのロケが増加。コロナ禍前で過去最高だった18年度の約9割まで回復した。

県観光物産課によると、21年度の撮影延べ日数は1046日で、前年度比65%増だった。インターネットで配信された「仮面ライダーブラックサン」が鹿島海軍航空隊基地跡地(美浦村)をロケ地に30日間行われたのをはじめ、ドラマ撮影が日数を伸ばした。

県が「FC推進室」を設置した02年10月以降、約19年間の累計ロケ支援作品数は7911件。

経済波及効果推計額は前年度比131%増の3億円。コロナ禍で一時受け入れを制限した長期ロケが再開されたことに伴い、ロケ隊の宿泊や飲食、機材レンタルなどの需要が増えた。

作品の内訳は映画66作品、テレビドラマ84作品、情報バラエティー129作品、ミュージックビデオなどのその他265作品。映画「シン・ウルトラマン」などが撮影され、このうち邦画「東京リベンジャーズ」「ザ・ファブル」「いのちの停車場」の3作品が同年度の興行収入10億円以上を達成した。

撮影場所は採石場(常陸大宮市)、竜ケ崎飛行場(龍ケ崎市)、袋田の滝(大子町)の順で多かった。

県はロケ誘致によるイメージアップや地域活性化を狙い、県内市町村と連携したロケ支援を展開してきた。だがコロナ禍の影響を受けた20年度の県内ロケ支援作品数は、12年度以来で8年ぶりに344件まで減少。これを受け、県はロケ隊に陰性証明の提出を求めるなどの感染対策や、首都圏から近い地の利を生かしたロケ需要の取り込みを図ってきた。

同課は「回復の傾向が見られる一方、作品数に対する撮影日数や経済効果は大きく伸びていない」と分析。「これまでの実績や経験を生かし、今後もロケを行いやすい体制づくりに努める」と体制の改善にも意欲を示した。