板谷波山役・榎木孝明さん水彩画展 しもだて美術館 茨城・筑西
■ロケ地描く
映画「HAZAN」で茨城県筑西市出身の陶芸家、板谷波山を演じた俳優の榎木孝明さん(66)の水彩画展が、同市丙のしもだて美術館で開かれている。波山生誕150年記念事業の一環で、筑波山の風景画をはじめ、県内をスケッチした作品など183点を展示している。9月25日まで。
鹿児島県出身の榎木さんは、武蔵野美術大デザイン科で絵画を学んだ後、劇団四季に入団した。現在は映画やテレビで俳優として活躍する傍ら、国内外で水彩スケッチを描いている。
開幕するのは「榎木孝明水彩画展~ロケ地の情景~」。榎木さんの水彩画展が同館で開かれるのは11年ぶりとなる。
県内の風景画は20点で、展覧会を前に描き下ろした同市周辺の作品が中心だ。「裏街の情景」は、下館駅前の見世蔵がある街並みを描いた。筑波山を背に田畑が広がる「田植えの始まり」や「夏を待つ」といった作品がそろう。
さらに同映画のロケ地や波山の窯を主題にしたほか、榎木さんが長年主役を務めた「浅見光彦シリーズ」の撮影で訪れた全国のロケ地、海外の風景、源氏物語や猫、花の力作が並ぶ。
同館の学芸員、木植繁さんは榎木さんの絵画について「透明感あふれる色彩と、軽やかな筆遣い」と特長を指摘。「(県内の風景画は)地元に住んでいると当たり前の風景だが、(作品を通して)こんなにすてきな風景なのだと再発見できる」と見どころを説明した。
榎木さんは展覧会のパネルで「私の水彩画の中に小さな幸せを見つけながら、今日の時間をゆっくりとお過ごしください」とのコメントを寄せている。31日には榎木さんのミニトーク・サイン会が開かれる。問い合わせは同館(電)0296(23)1601。