僧侶天海に迫る 茨城・稲敷、肖像画や直筆書展示

茨城新聞
2022年2月23日

徳川家康らに重用され江戸初期の宗教政策に深く関与した天台宗の僧侶・天海を取り上げた展覧会が、茨城県稲敷市歴史民俗資料館(同市八千石)で開かれている。天海が雌伏の時を過ごした市内の寺院「江戸崎不動院」(同市江戸崎甲)をはじめ、関連寺院に残る天海の肖像画や直筆書を展示する。入館無料、4月24日まで。

家康・秀忠・家光の3将軍と個人的な関係を築き、宗教顧問として活躍した天海。弟子にも出自を語らず、その生涯には謎が多い。同館によると、会津の生まれとされるが一次資料で確認できるのは不動院に至ってからという。

1591(天正19)年、随風と名乗って会津にいた天海は江戸崎城主の芦名盛重により不動院の住職に迎えられた。家康の帰依を受け、織田信長によって焼き討ちされた比叡山の寺院の復興や江戸の寛永寺の創建に携わったほか、家康の没後、神格化して日光山に祭った。

展示会の目玉は、絹地に色鮮やかに描かれた天海の肖像画を掛け軸に仕立てた品と、天海自筆の紙本墨書の2点。両方とも不動院に伝わるもので、昨年、市文化財の指定を受けた。このほか、満願寺(同市阿波崎)にあり、7世紀後半に作られた県内最古の仏像も48年ぶりに一般公開される。

展示に関連した講演会も3月26・27日に行われる。事前申込制で、両日とも定員250人。無料。問い合わせは同館(電)0297(79)3211。