白黒で質感、光と影 真岡・久保記念交流館 版画家7人の23点展示 新収蔵 久保卓治さん作も
【真岡】銅版画のエングレービング(直刻)技法で国内の第一人者とされる版画家久保卓治(くぼたくじ)さん(72)の新収蔵作8点を含む作家7人の版画23点を展示した企画展「モノクロームの世界」(市教委主催)が、荒町の久保記念観光文化交流館美術品展示館で開かれている。日本写真家協会初代会長の木村伊兵衛(きむらいへい)(1901~74年)が市ゆかりの美術評論家久保貞次郎(くぼさだじろう)さん(1909~96年)を撮影した貴重な写真6枚も初公開している。8月2日まで。
久保貞次郎さんの遺族から市に寄贈された美術作品約1500点に及ぶ「久保コレクション」の中から、テーマを決めて収蔵作を紹介する29回目の展示会。白黒のコントラストによって描き出される質感や光と影の表現などを通じ、モノクロームの魅力に迫ろうと初めて企画した。
注目作は、久保卓治さんの知人のコレクターが「ぜひ久保記念交流館で所蔵してほしい」と昨年秋に市へ寄贈した銅版画8点。フランスや米国、英国の名所を実際に訪れ写真に収めた久保さんが、その画像をベースにエングレービングで仕上げたパリのノートルダム寺院や米ニューヨークのエンパイアステートビル、英オックスフォード博物館などの力作を展示している。
久保貞次郎さんと親交が深かった洋画家・版画家北川民次(きたがわたみじ)(1894~1989年)が制作した木版画の初期の代表作「タスコの裸婦」「メキシコの浴(よく)み」などのほか、アトリエで作品に囲まれるなどした55歳ごろの久保さんを撮影した木村の写真コーナーも設けられている。
担当の学芸員は「久保卓治さんの作品を間近で見た時は感動した。立体的で質感のある建造物だけでなく、背景にある歴史も感じ取れる作品を楽しんでほしい。木村の写真も非常に貴重です」と話している。
午前9時~午後6時(入館は5時半まで)。無料。火曜休館。(問)交流館0285・82・2012。
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