茨城県五浦美術館で体験企画 日本画、好きになって 筆で実技や用具紹介

茨城新聞
2020年1月6日

空調設備の不具合で企画展を中止している北茨城市の県天心記念五浦美術館(関弘和館長)が、展示室を使って、来館者に日本画に親しんでもらう取り組みを進めている。体験プログラム「日本画ってなぁに?-みて・さわって・かいてみよう」(参加無料)。画材や用具、制作工程の紹介・解説のほか、実技体験などさまざまなコーナーを設け、職員は「ぜひ体験して日本画を好きになって」と意気込んでいる。

実際に絵筆をとって描ける実技コーナーは、1~2カ月ごとにメニューを替えて実施する。昨年11月は「墨で描こう」。はがき大の白い紙に、筆で鳥獣人物戯画を描く体験には1400人以上が参加した。12月~1月は「紺地に金泥で描こう」。紺地のはがき大の紙に金墨汁でウメやツバキなどの植物を描く体験を行っている。

家族4人で体験した石岡市の恒広登志子さん(73)は「見るのとやるのとでは大違い。なかなかできない体験。とてもいい経験になった」と満足していた。

体験を希望して家族で訪れた日立市内の小学3年の女児(8)は「筆で色を濃くしたり、薄くしたりするのが難しかったけど、楽しくできた。別の体験もしてみたい」と話した。

2~3月には水墨画に多い竹を描く「墨で竹を描こう」体験で、職員が指導する予定。

このほか、画材の岩絵の具を顕微鏡で観察し、原料の鉱石に触れられるコーナーや、和紙、絵絹(えぎぬ)の厚みや質感を触って確かめるコーナー。掛け軸の扱い方を教えてくれるコーナーもある。

岡倉天心が開設した五浦の日本美術院を模したセットでの撮影コーナーもある。1907年に撮影された、創作に励む横山大観や木村武山らの写真(同年8月22日付「いはらき=現茨城新聞」に掲載)の横で、大観や武山らに成りきって写真が撮れる。

同館企画普及課の横山智絵・首席学芸主事は「企画展の開催時には、体験を主体とした取り組みはなかなかできない」としながら、「普段とは違う美術館を楽しんで、日本画のファンになってほしい」と話した。

同館は昨年9月初旬、空調設備の不具合のため、予定していた4月5日までの四つの企画展を中止すると発表。今後は企画展の再開に向けて、設備を新たにする予定という。

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