県陶芸美術館 「日用使いの器」お目見え 新収蔵品55件公開

茨城新聞
2019年6月17日

笠間市笠間の県陶芸美術館で「新収蔵品展」が開かれている。2018年度に購入または寄贈を受けて、新たにコレクションに加わった55件を公開している。重要無形文化財保持者(人間国宝)など従来からの基準に沿った作品に加え、初の試みとした「日用使いの器」がお目見え。同館の新基軸をのぞかせている。

同展は、3カ所の展示スペースで展開。このうち、2階「第2会場」奥の展示台には、島崎小乙里、鈴木美汐、鈴木麻紀子、桑原典子各氏の手による、それぞれ個性ある食器のセットが並んでいる。コーヒーカップやお酒を注ぐピッチャーなどだ。陶芸の伝統が結晶したような壺(つぼ)や茶器、斬新な形のオブジェなど重厚な作品に交じって、ひときわ身近で親しみを感じさせる。

同館では2000年の開館以来、「資料整備費」名目で、毎年度400万円ほど予算を組み、コレクション構築を進めてきた。18年度までで898件(寄贈、管理替え含む)に上る。

収集は、人間国宝などの優れた作品▽現代の新しい陶芸の流れを担う代表的作家の作品▽県内作家の作品▽日本の近代陶芸に影響を及ぼした海外作家の作品-の四つの基準に照らし決めている。

同館によると、日用使いの器は、この基準の中では「現代の新しい流れ」に当たる。金子賢司館長が主導する形で「使う器」に枠を広げることを決めたという。全国に公立陶芸美術館は9館あるが、コレクションの枠を「日用使いの器」まで広げた例は少ないという。同館の取り組みは、陶芸美術館の収蔵品収集の在り方に一石を投じることにもなりそうだ。

会期は第1会場が10月6日、第2会場が9月1日まで。

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