《食いこ》 お食事処 和久(大洗町) 地元魚のおいしさ伝える

茨城新聞
2017年10月23日

大洗町役場のすぐそばにある「お食事処 和久(わきゅう)」は地元の市場で仕入れる新鮮な魚料理が自慢の店。50年以上続く同町の水産加工会社「マルカイ商店」が2015年に開いた。2代目で同社専務の海野宗久さん(57)は「刺し身に天ぷらやフライ、冷凍では味わえない生魚のおいしさを知ってほしい」と話す。

築地や水戸などの市場で修業した海野さんは確かな目で毎日、大洗の市場に出掛け、新鮮な魚を仕入れる。腕を振るうのは料理人になって約60年という大和田光男さん(77)らベテラン。大和田さんは料亭やホテルなどの料理長、県調理師技術振興会副理事長などを務めた経歴の持ち主。長年培った料理の腕前を第二の人生に生かす。海野さんは大和田さんとは旧知の間柄で「素材をおいしく扱う腕は間違いない。魚を任せれば安心」と厚い信頼を寄せる。「大洗の魚のおいしさを知ってもらえれば」と大和田さんも意気盛ん。

この日のメニューは天然の大きなエビの「大えび天丼」や「海鮮丼」「あじの刺身とあじフライ定食」など。生魚の天ぷらやフライは身がふっくら。お薦めは「鯛(たい)と平目の刺身と平目の天ぷら定食」。「大洗のタイやヒラメのおいしさは有名」と海野さん。

大和田さんは「おいしく食べてもらいたい」とすし店と同じように、注文が入ってから魚をさばく。「そうしないと納得いかない」。切ってしまうと魚が酸化し味が落ちてしまうためだ。魚のあらはうしお汁にするなど無駄を出さないように心掛ける。

魚は季節や仕入れによって変わる。寒くなってくると、あんこう鍋の季節。大和田さんオリジナルのしょうゆベースの味つけで、手間をかけた肝入りの焼きみそに、盛り付けから締めの雑炊まで「自分が行き着いた一番いい形のあんこう鍋」という大和田さんの自信作だ。

食事だけでなく、土産用に魚の総菜を販売する。ひと味違うおいしさの「銀だら西京漬け」「金目(きんめ)鯛(だい)煮つけ」などがショーケースに並んでいた。大和田さんは「料亭の味を家庭で食べてほしい」と笑顔を見せた。

■お出かけ情報
お食事処 和久
▼住所は大洗町磯浜町6881の317
▼営業時間は午前11時~午後3時
▼定休は月曜(祝日の場合は翌日)
▼(電)029(219)8801

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