《まち里歩き》スタート地点 丹生湖西のヒマワリ畑(富岡市下丹生) 夏彩る鮮やかな花
梅雨も明け、夏の太陽がまぶしい日々が続く。湖に涼しさを求めて、富岡市の観光名所、丹生湖周辺を歩いた。
初めに訪れたのは、丹生湖西側の丘陵地に咲き誇る約11万本のヒマワリ畑(❶)。地元のこだま農産物生産組合が10年ほど前から育てており、人気のスポットとして多くの家族連れやカップルでにぎわう。遅咲きのヒマワリは、7月末から8月中旬まで楽しめるという。青空に向かって真っすぐに伸びるヒマワリを見て元気をもらった。
丹生湖では妙義山の美しい山並みをバックに、雄大な湖畔の風景が広がる(❷)。ボートに乗ると、静かに吹く風がとても心地よい。水面(みなも)に浮かぶカイツブリの巣を見つけた(❸)。木々が組み合わさっており、小さな家のようでかわいらしい。カワセミやカモ、トンビをはじめ、冬には白鳥やカモメなども見られるという。この湖を拠点に、多様な生物が生息している。丹生湖整備委員会施設管理長の丸山正行さん(63)は「湖の水は、甘楽と富岡の一部で農業用水としても活用されており、市民の生活を潤している」と教えてくれた。
ヘラブナ、ワカサギ釣りのメッカとしても知られる丹生湖。この日も多くの人が釣り糸を垂らしていた。週2、3回来るという前橋市の豊田武さん(69)は「湖に来ると、何も考えなくていい。心が安らぐ」と湖畔を眺める。湖の静けさや澄み渡る空気が、多くのファンをとりこにしているのだろう。
湖を後にして歩いていると、元気な掛け声が聞こえ、富岡丹生小に立ち寄った。丹生小、高田小、妙義小の児童でつくる少年野球チーム「丹生ボーイズ」が練習に汗を流していた(❹)。42年続く伝統チームだが、6年生が最後の大会を終え引退すると、現役メンバーは3人のみになるという。主将の妙義小6年、島田宗一郎君は「メンバーを増やすのがチームの課題。後輩たちには頑張ってチームを存続させてほしい」と願っている。
県道に沿って北に歩くと、富岡製糸場にそっくりなれんが造りの建物があった(❺)。大正末期に建設された繭倉庫だ。旧上丹生製糸組合が繭を保存するために使っていた場所で、かつて養蚕が盛んだった丹生地域を思い起こさせた。
近くの岡部温故館にも足を運んだ(❻)。富岡甘楽地域で、麻や砥石(といし)などの特産物を取引する豪商だった岡部家。繭から糸を取る道具やべっ甲のかんざしなど、代々受け継がれた歴史資料や美術品が残されていた。
(文化生活部 稲村勇輝)
≪コースの特徴≫
坂道もある2.5キロ。県道では車の往来に注意が必要。景色を楽しみながら歩きたい。
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