《いばらき御朱印めぐり》石岡・峰寺山西光院 八郷盆地の眺望見事 崖上に柱組み上げ本堂
茨城県の石岡市(旧八郷町)と桜川市(旧真壁町)の間に連なる山地。平安時代の名僧・徳一(とくいち)法師が、山腹で輝く自然の岩を馬頭観音に見立てて祭ったのが寺の始まり。自然岩の本尊を、崖上に柱を組み上げた「懸造(かけづく)り」の本堂の中に安置している。本堂からは八郷盆地の素晴らしい眺望が楽しめる。「関東の清水寺」とも称されるほどだ。
水戸市を始点にナビ検索して示された経路は、北関東自動車道の笠間西インターチェンジ(IC)経由。笠間市側からフルーツラインを走り、石岡市の上曽十字路で県道石岡筑西線に入る。山越えの道だが対向車は続々とある。県道から脇道に入って約2キロで到着。サルを飼う東筑波ユートピアの隣だ。
御朱印は2種類。本尊「馬頭観音」の文字を中央に配置し、同観音を表す梵字(ぼんじ)「ウン」の朱印を押したものと、常陸七福神として「毘沙門天」の文字と同梵字「ベイ」の朱印を押したものがある。
開山は807年。徳一法師は、天台宗の開祖・最澄と宗教哲学を巡った論争を行い、筑波山の中禅寺、会津の恵日寺など福島や茨城県内に多くの寺を創建した。当時は法相宗だったが、真言宗となり、その後天台宗となった。現在の大澤法光(ほうこう)住職(63)で天台宗の28世を数える。
案内してくれた住職の妻、晴美(はるみ)さん(57)によると、本堂は真南を向き、眼下に水田、先方には宝篋(ほうきょう)山の山容を見渡す。江戸時代中期に火災となり、現在の建物は1791(寛政3)年に再建された。1970(昭和45)年、県有形文化財に指定。
自然岩の本尊・馬頭観音は、二つの巨岩が重なった雪だるまのような状態らしいが、囲われていて見えない秘仏だ。
境内には、高さ約5.9メートルの立木(たちき)観音を納めた観音堂もある。立木仏とは生えている木に彫りを施した仏像で、もともとは山麓の長谷寺高照院にあった。幕末に同寺が廃寺となり、その後、引き取った。この観音も県指定有形文化財で、素朴な味わいがある。
西光院の入り口には禁止事項として「カメラ、たばこ、飲食」などを掲げる。安全面への配慮から、懸造りの柱への立ち入りは禁止になっている。
■メモ
アクセス:石岡駅から車で30分、北関東自動車道笠間西ICから車で25分。
住所:石岡市吉生2734
電話:0299(43)6938
受付時間:午前10時~午後2時半
御朱印:本尊・馬頭観音と常陸七福神巡りの毘沙門天の2種類。300円。住職不在時には書き置きで対応。
補足:常陸七福神巡りは土浦市の資産家が室町時代の純金七福神像を土浦・真延寺に納め、これをモデルにしたブロンズ像を、筑波山と霞ケ浦周辺の寺に奉納したのを機に始まった。