《食いこ》焼き菓子工房 キュンメル(茨城・土浦市) 脱アレルゲン 優しい甘さ

茨城新聞
2023年10月8日

「素材を気にせず、みんながおいしく食べられる」がコンセプト。茨城県土浦市の「焼き菓子工房 キュンメル」は、住宅街の一角に4畳半の小さな工房を構え、ドーナツやクッキー、スコーンなど手作りの焼き菓子を販売する。店頭のほか自転車での移動販売、イベント出店を合わせ、店主の篠原杏菜さん(28)は「お客さんの声が励み」と話す。

毎週十数種類のドーナツやクッキーなどを提供している

 

看板商品の焼きドーナツ「豆(まめ)っ米(こ)焼きドーナツ」は、国産無農薬大豆を使った豆腐やおから、国産米粉が主な材料だ。小麦粉や卵、乳製品、そばなど食物アレルギーを引き起こす特定原材料を使わない。小麦粉の代わりに米粉を取り入れ、しっとりした生地に優しい甘さが引き立つ。

篠原さんは愛知県出身。地元の調理師専門学校で学んだ後、就職を機に茨城県つくば市に移り住んだ。同市内の洋菓子店に勤務した後、自分のペースで働きたいと独立。レンタルキッチンで焼き菓子を作り、イベントに出店し始めた。

転機はちょうどそのころ。「お菓子に卵や小麦粉は入っていますか?」。来店客にたびたび質問された。体質によって家族や友達と同じものが食べられない人がいる。現実を知り、材料を一から見直した。アレルゲンを除いたお菓子作りに励み、移動販売からスタート。2020年12月、現在地に工房を構えた。

木のぬくもりが感じられる店舗

 

焼きドーナツは、基本の8種類に季節限定品を加え、週替わりで店頭に並べる。プレーンにシナモンシュガー、トウモロコシ粉のポレンタ、和紅茶、抹茶、チョコなど。和から洋まで各種取りそろえ、素材を厳選。風味を考慮しながら材料を探すうち、どんどん種類は増えていき、今では約120種ものレパートリーがあるという。

製造から販売まで、全て一人で切り盛りする。「全部自分の責任というプレッシャーはあるが、頑張った分だけ喜びは大きい。今のスタイルが心地いい」と笑う。特に、つくば市内など自転車に乗って行ける範囲で続けてきた移動販売がお気に入り。相棒のクマのぬいぐるみが見守る側で、ドーナツを囲み会話が弾む。

「できるだけ出向いて、多くの人にお菓子を届けたい。みんなが安心して同じものを食べられるって、幸せなことですよね」

■お出かけ情報
焼き菓子工房 キュンメル
▽土浦市中村南4の5の32
▽営業日は木曜(午後4時半~6時半)、金曜(正午~午後6時半)、日曜はイベント出店。月-水、土曜は定休。都合により19日まで店舗販売は休み。
▽連絡先はkumkumkummel@gmail.com