《いばらき御朱印めぐり》日立 大甕神社 人気の荒ぶる地主神 七夕に「香々背男」祭典
常磐道日立南太田インターから国道6号を北上し、約2キロに及ぶ石名坂を上り切ると、海側のこんもりとした樹叢(じゅそう)が大甕神社だ。ここでは、武葉槌命(たけはつちのみこと)(主神)と甕星(みかぼし)香々背男(かがせお)(地主神)を祭っている。
日本書紀によると、国譲りで活躍した鹿島神宮の神(武甕槌神(たけみかづちのかみ))と香取神宮の神(経津主神(ふつぬしのかみ))が邪神の平定を進める中で、甕星香々背男は最後まで抵抗していた。これを服従させたのが、鹿島や香取の神に代わって武葉槌命だと伝えている。同命は織物の神で倭文(しどり)神とも呼ばれる。
社伝によると創建は皇紀元年(紀元前660年)。かつて大甕山上に鎮座していたが、江戸時代の1695(元禄8)年、水戸藩主・徳川光圀の命により現在地に移した。
大甕神社敷地内にある岩山は「宿魂石」と呼ばれ、香々背男を封じた磐座(いわくら)だと伝わる。鎖綱を伝って岩山を登っていくと、崖上にある祠(ほこら)が本殿だ。本殿では主祭神・武葉槌命を祭る。本殿から儀式殿側へ下っていくと、荒ぶる神を祭る甕星香々背男社がある。
「高天原の神たちに、なかなか屈しなかった香々背男に対して、魅力を感じる参拝者が多いようだ」と話す広報担当の禰宜(ねぎ)、朝日正敬(まさたか)さん。人気の高さを受けて、甕星香々背男社を約20年前に整備したという。
御朱印は通常版が2種類。中央に「大甕神社」と書かれたものと、肩に地主之神、中央に金文字で天甕星と書いた「甕星香々背男」版だ。
香々背男を主役にした祭典行事「甕星祭」は七夕の7月7日に行われる。宿魂石上の本殿から岩下の甕星香々背男社まで、奉納した行灯の明かりで照らされ、天の川のような雰囲気を醸し出すという。この日は「かがせお」と題した神楽が奉納される。
最大の神事は、6年に1度行う御浜降(おはまおり)神事。久慈漁港から漁師たちの船団で沖合1キロの「おんねさま」と呼ぶ神磯まで船渡御(とぎょ)し、潮水をくんで神社に戻ってくる。寅の年の昨年行ったのに続き、今年は国道6号側に整備してきた神門(楼門)完成を祝って7月16日に行った。「数年に1度のために華美になりすぎたり、交通規制など諸手続きに戸惑うこともある。後世に伝えるためにも毎年開催にしていきたい」(朝日さん)そうだ。(第1土曜日掲載)
■メモ
アクセス…常磐道日立南太田インターチェンジから国道6号を北に約10分。
住所…茨城県日立市大みか町6の16の1
電話番号…0294(52)2047
受付時間…午前9時~午後5時
御朱印…「大甕神社」版と、金文字で「天甕星」と中央に書かれた「甕星香々背男」版がある。各500円。お正月などで季節限定版も頒布する。