海浜鉄道湊線PRへ「駅印」 茨城・勝田高美術部制作、2年越し披露 各駅の御利益デザイン
ひたちなか海浜鉄道湊線にある駅の「御利益」を描いた珍しい「駅印」がお披露目された。湊線を生かしたまちづくりに取り組む、茨城県ひたちなか市の市民団体「三鉄ものがたり実行委員会」(佐藤久彰代表)の依頼で、県立勝田高(同市足崎)の美術部員が2021年に制作したが、新型コロナウイルスの感染拡大で日の目を見ずにいた。実行委は鉄道とともに地元のPRや誘客に生かす考えだ。
実行委は、2021年に湊線を44年走って引退した気動車「キハ222」をご神体とするユニークな「ひたちなか開運鐵(てつ)道神社」を同市阿字ケ浦町の阿字ケ浦駅に建立、運営している。
駅印の制作は佐藤代表が同校卒業生だった縁で、21年に依頼。当時2、3年生だった美術部員6人が同年12月に完成させたが、コロナ禍での自粛ムードもあり、発表できずにいた。
駅印ははがきサイズで、勝田(2種類)、金上、那珂湊、殿山、阿字ケ浦の5駅で計6種類を制作。鐵道神社に関連して、全ての駅印にご神体と各駅の御利益を表現したイラストが描かれている。
金上駅は鐵道神社のイラストをメインに、「金運が上がる」の御利益を招き猫で表現。国営ひたち海浜公園で秋に咲くコキアを描き、市をPRする。
殿山駅は駅名の「殿」にちなんで「立身出世」が御利益。昇り竜がデザインされている。
佐藤代表や同校美術部OB、鉄道ファンら約20人が7月末、阿字ケ浦駅に集まり、駅印を初披露した。
制作時3年生だった坂本いおなさん(19)と大内れなさん(19)は現在大学2年。那珂湊駅の駅印をデザインした坂本さんは「地元の魅力をうまく表現できたと思う。駅印を通して各駅が有名になってほしい」と笑顔。阿字ケ浦駅の駅印デザインに携わった大内さんも「貴重な体験ができた。地元に愛着を持ってもらえれるとうれしい」と期待を寄せた。
駅印は1枚200円。全6枚で千円。那珂湊駅で販売されている。
佐藤代表は「地元愛あふれる駅印になった。多くの人に湊線に乗ってもらい、駅印を手に取ってほしい」と語った。同鉄道の吉田千秋社長も「新たな観光資源として活用し、さらなる誘客につなげたい」と話した。