北欧ガラス作品一堂に 高い芸術性、130点展示 茨城・笠間の県陶芸美術館

茨城新聞
2023年3月29日

20世紀初頭から現代まで、フィンランドを代表するデザイナー8人のガラス作品を一堂に並べた企画展「フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン展」が18日、茨城県笠間市笠間の県陶芸美術館で開幕した。同国内のコレクション約130点が展示され、北欧の自然や風土に育まれたガラス作品の魅力が紹介されている。

同展は、グラスアートが台頭した1930年代から、50~60年代の黄金期を経て現在に至る流れを、作品でたどる。デザイナーと職人との協働作業で制作された作品は、色彩の美しさや洗練されたデザイン、技術力の高さなど、それぞれに魅力がある。

アアルト夫妻が手がけた「アアルト・フラワー」は器とオブジェを兼ねている。皿、鉢、ボウルと大きさの違う作品を重ねると花形の彫刻のようになり、グリーンのグラデーションが際立つ。

オイヴァ・トイッカの「知恵の樹、ユニークピース」は、オブジェを内包したガラスのキューブ30個を組み合わせた不思議な作品。現在も活躍するヨーナス・ラークソは独自の技法で幾何学模様を成す「ジグザグ」などを出品している。

17日、同館で関係者を招いた式典と内覧会が開かれ、担当する学芸員の名村実和子さんは「フィンランドのガラス作品の変遷と、一つ一つの個性や芸術性の高さに注目してほしい」と話した。6月11日まで。月曜休館。

■ムーミン展同時開催

フィンランドにちなんだ今展に合わせ、企画展「ムーミンの食卓とコンヴィヴィアル展」が、同館2階の第2展示室で同時開催されている。

ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソン(1914~2001年)を紹介しながら、貴重な原画やフィギュア、テキスタイルなどが展示されている。ごちそうや共生などを意味する「コンヴィヴィアル」をキーワードに、自然に寄り添い、仲間を大切にするムーミンの世界観を再現している。

会期や開館時間は「-グラスアート展」に準じ、共通の観覧券のみ販売する。