《食いこ》Nico Kitchen(茨城・日立市) 野菜のおいしさ引き出す
旬の野菜をたっぷり使い、健康を意識したランチを提供する。切り盛りするのは、オーナーの樫村健生さん(36)、理美さん(38)夫妻。数人のスタッフと一緒に厨房(ちゅうぼう)に立ち、料理からデザートまで手作りする。
店で使う野菜は、健生さんの父親や弟が経営する農園「樫村ふぁーむ」で育った。農薬や化学肥料を極力使わない農業を実践し、約15ヘクタールの農地で年間100種類以上を栽培している。「家族が愛情込めて育てた野菜をよりおいしく味わってもらいたい」と2022年4月に店を開いた。
農業系の高校、大学を卒業し、野菜に詳しい健生さんと、発想力があり、盛り付け上手の理美さん。ともに料理好きなことから、メニューは夫妻で試作を重ね、意見を出し合って決めた。
心がけるのは野菜の味を生かすこと。「味付けはなるべくシンプルにし、凝り過ぎないようにしている」と健生さん。例えば、ニンジンのきんぴらは素材の甘さを生かし、砂糖は使わずに仕上げた。ほかにも、自家製の塩こうじやみそといった手作りの調味料を使い、野菜が本来持つ味を引き出すことに力を入れる。
加えて「おいしく食べてもらうには見た目も大切」と、色合いにも気を配る。赤ネギや紫色のジャガイモ「シャドークイーン」などカラフルな野菜を取り入れ、料理に彩りを添えている。
お薦めは「選べるランチメニュー」。メインは肉料理と魚料理の2種類あり、副菜は煮物やサラダ、きんぴらなど5種類から三つ選べる。冬場はニンジンやダイコンといった根菜類、春はカブや菜の花、葉物など、旬の野菜をそれぞれに合った調理方法で提供する。バスクチーズケーキなどのデザートも人気だ。
店内の一角では、農園の取れたて野菜や米なども販売している。取材に訪れた日は、白菜やネギ、ダイコンといった定番から、黄色や紫のニンジンなど、数種類の野菜が並んでいた。
「冬の野菜は体を温める効果があるなど、旬を取り入れた料理は心身を元気にしてくれる。四季も感じてもらえたらうれしい」。野菜が持つ栄養やおいしさ、彩り。調理を通して生まれ変わった自然からの贈り物は、味わう人の活力になる。
■お出かけ情報
Nico Kitchen
▽茨城県日立市幸町1の15の9 1階
▽営業時間は正午~午後3時。
▽日曜定休、不定休あり。
▽(電)070(8439)1607
▽テイクアウトも可能。インスタグラムのアカウントは@nico.kitchen25